配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2010年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2009年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
研究概要 |
特異な光・電子機能を実現する高次π空間の構築を目的として,フランが縮環したπ電子化合物の特異な分子間相互作用を利用した集積状態の形成に関する研究を行った.これまでの研究で,2,6・ジ(2・ピリジル)ベンゾ[1,2-b:4,5-b']ジフラン(2-PyBDF)が,希薄ジクロロメタンまたはテトラクロロエタン溶液中では400nmより短い波長に光吸収を持つのに対し,濃度を高くすると400-500nmの長波長領域に新たな吸収帯が現れるという現象を見出している.また,希薄溶液では紫色発光であるのが高濃度溶液では青白~緑色発光を示すことも見出している.これらの現象は,2-PyBDF分子間に働く強い分子間相互作用の存在を示唆していると考えている.そこで,本年度は,置換基の電子的,立体的影響が光学的性質に与える影響を検討すべく,種々の誘導体を合成し,光物性を評価した.具体的には,2-ピリジル基に替えて,3-ピリジル,4-ピリジル基を持つ誘導体(3-PyBDF,4-PyBDF)を合成した.ともに希薄条件下では2-PyBDFの希薄溶液と同様の波長領域に吸収,発光帯を示した.高濃度溶液では4-PyBDFのみはが2-PyBDFと同様に長波長領域に新たな吸収帯を示したのに対し,3-PyBDFは顕著な濃度依存性を示さなかった.このような違いは電子状態の違い,特にBDF骨格からピリジル基への電子の偏りに由来するものと考えられる.したがって,強い電子求引性置換基等を導入することでさらなる強い分子間相互作用の発現が期待でき,今後の研究指針となる重要な知見を得ることに成功したといえる.
|