研究領域 | 分子自由度が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
21110509
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田島 裕之 東京大学, 物性研究所, 准教授 (60207032)
|
研究期間 (年度) |
2009 – 2010
|
研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
|
配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2010年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2009年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | フタロシアニン / 巨大負磁気抵抗 / 有機伝導体 / d-π相互作用 / 一次元伝導体 / 光CELIV / トラップ / 磁気トルク / 鉄フタロシアニン / 分子性伝導体 / 磁気トルク測定 / 磁気測定 / 電荷分離型フェリ磁性 / 光CELIV法 |
研究概要 |
鉄フタロシアニン錯体は、スピン自由度と軌道磁気モーメントの両方を有するユニークな分子である。この錯体では、巨大負磁気抵抗をはじめとする種々の現象が見つかっている。一方、これまでは、TPP[Fe(Pc)(CN)_2]塩に研究が集中しており、他の同型構造塩の研究は進んでいない。そこで本研究ではTPP[Fe(Pc)X_2](X=Br,Cl)に関して、磁気トルク(業績1)、光反射スペクトル(業績2)、極低温における電流-電圧特性の実験を行った。その結果、これらの塩は、TPP[Fe(Pc)(CN)_2]_2塩同様に、巨大負磁気抵抗と自発磁化を示すものの、i)d-d電子間のJ(交換相互作用)はCN塩の1/3と小さくなっていること、ii)Jが小さくなった結果、d電子の短距離秩序生成温度も約10Kと低下していること(CN塩では約25K)、iii)π電子の示す反強磁性転移温度は約12KでCN塩とほぼ同じであること、iv)電気測定で得られるCl塩のギャップは500Kで、光学スペクトルで得られるギャップ(600K)とほぼ一致していること、v)電流-電圧特性は、本質的にはPoole-Frenkel modelで表すことができること、vi)自発磁化はCN塩同様、電荷分離型フェリ磁性モデルを考えることにより説明できること、を明らかにした。これら一連の結果は、d-π電子系としての鉄フタロシアニン錯体の本質を明らかにするのに大きく役立つと考えている。 また、上記の研究と並行して、室温から極低温に至る広い温度範囲で光CELIV法の実験を行い、光CELIV法で得られるシグナルがmobilityよりもtrap密度関数を反映することを見出した。(業績3)この結果は有機半導体におけるmobilityの起原を理解する上で重要な結果と考えている。
|