配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2010年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2009年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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研究概要 |
平成22年度に本研究では,構造による軌道準位接近系である有機強磁性体や金属ジチオレン錯体のこれまでの研究を発展させ、一中心にラジカル部位が3つ結合した「三翼型分子」の開発研究をおこなった。一炭素中心にNO基が3つ結合した型のラジカル分子合成を目的として,在来α-ニトロニルニトロキシドとニトロソ化合物の反応による経路で合成に成功した。類似化合物について他グループの先行した合成研究が平成22年度に出版されたが,本研究の手法は常温・空気中で実行可能で,この方が簡便である。また,さらに一般的な合成法の探索をおこなって,チオ尿素誘導体を経る別の経路や,オルトギ酸トリメチルのメトシキ基をN置換ヒドロキシルアミンで順次置換する方法でも,目的の化合物群が得られることがわかった。このように分子設計・物質開発の当初の目的は,ある程度達成できた。この過程で得られた化合物を結晶化し,現在は構造と物性の研究に進んでいて,それが完了した段階で成果を公表する予定である。 以上の物質開発研究と並行して,赤外~可視領域偏光分光装置による試料同定・分子配向異方性測定と単結晶X線回折測定を実際に活用し始め,低温での偏光顕微分光測定のための試料角度調整台を製作した。また以前から続けている金属ジチオレン錯体の三角格子スピン系の研究,および固体におけるトポロジカル縮重の顕著な効果である質量ゼロのディラック電子系の物性研究として,高圧下でのθ-(BEDT-TTF)_2I_3のNMP測定と,α-(BEDT-TTF)_2I_3の層間縦磁気抵抗の温度依存性によるランダウ準位間隔の評価の研究に貢献し,これらの成果を国際会議で報告し,また論文として出版された。
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