公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
擬2次元有機結晶α-ET2I3で圧力下におけるDirac point (DP)は,バルクな結晶中の4バンド系において実現される点で解析的取り扱いが困難であった。従来の方法論では4バンド系をk・p摂動によってDP近傍で有効的に2バンド系として扱っていたが、この方法はDPが出現するk点が既に知られている場合に限られる。本研究では、マルチバンド(3バンド以上)系で、どのようにDPの有無を判定し、その探索を可能にするか、というAccidental degeneracyの問題に関する一般論を構築することに成功した。具体的には、von Neumann-Wigner理論を一般化し、系の次元、対称性などからくる拘束条件の数を考慮するだけで、DPの出うる系であるかどうかを判定するgeneralized von Neumann Wigner conditionを提示した。同時に、マルチバンド系を(厳密に)2自由度の解析的な計算で取り扱い、DPをもつk点と系のパラメタとの関係を導出する方法論も構築した。その結果、相互作用のない一般の2次元系で、系統的なDP探索が可能となった。三角格子有機モット絶縁体κ-ET_2Cu_2(CN)_3において低温で実現されると期待されているスピン液体で、最近6K付近に誘電異常が報告された。この誘電異常の由来が、モット絶縁体の構成単位であるダイマーの内部の電荷自由度にあると考え、この自由度を量子ダイポールとして定式化、強結合有効模型を提案した。この模型の特定のパラメタ領域で、ダイポールおよびスピンの自由度が絡み合い、互いに秩序化を抑えあう強相関状態に陥ることを数値的に示し、電荷とスピンの相関がスピン液体の起源となりうることを指摘した。その他、1次元有機梯子スピン系の朝永らっティンジャー液体状態の解析など、いくつかの系について理論解析を行った。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (22件)
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