公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
転写は、遺伝情報発現の出発点であり、その制御機能の解明は、遺伝子の発現制御を理解するうえで非常に重要である。しかし、真核生物の細胞核内における転写の場が、どのように制御され、構築されるのかについての基本的問題は解明されていない。遺伝子の転写を行う酵素であるRNAポリメラーゼIIの最大サブユニットC末端に存在する繰り返しドメインには複数のリン酸化部位があり、転写開始の際にSer5が、転写伸長の際にはSer2がリン酸化される。昨年度の研究で、これらのリン酸化Serを特異的に認識するモノクローナル抗体の作製を行い、転写開始前複合体、開始複合体、伸長複合体中のRNAポリメラーゼIIを生きた細胞で可視化することに成功した。そこで、転写を活性化した際のRNAポリメラーゼIIの動態を明らかにするために、グルココルチコイドで転写誘導されるMMTV-LTR(mouse mammary tumor virus long terminal repeat)を約200コピー持つ遺伝子アレイを持ち、GFP-GR(GFP融合グルココルチコイド受容体)を発現する細胞を用いた。この細胞にグルココルチコイドを添加すると10分程度でGFP-RがMMTVアレイ上に集積する。そこで、Cy3やCy5で標識したリン酸化特異的Fabを導入し、アレイ上へのGFP-GRと蛍光標識Fabの集積速度を生細胞で測定した。その結果、転写因子であるGFP-GRの集積とRNAポリメラーゼIIの集積には数分のタイムラグがあるが、RNAポリメラーゼIIが集積してからは速やかに転写開始(Ser5リン酸化)と転写伸長(Ser2リン酸化)が起こることが明らかになった。従って、GR依存的な転写誘導においては、RNAポリメラーゼIIのリクルートがリミッティングステップであると考えられた。
すべて 2011 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (7件) 備考 (2件)
Nature Cell Biol.
巻: 12 ページ: 719-727
Proc.Natl Acad.Sci.USA
巻: 107 ページ: 10454-10459
Curr.Opin.Cell Biol. (印刷中)
Nature (印刷中)
Nucl.Acids Res. (印刷中)
EMBO J. 29
ページ: 352-362
J.Cell Biol. 187
ページ: 781-790
Nucl.Acids Res. 37
ページ: 7416-7428
Proc.Natl Acad.Sci.USA 106
ページ: 8357-18361
Mol.Biol.Cell 20
ページ: 4194-4204
Biochem.Biophys.Res.Commun. 389
ページ: 366-371
実験医学(増刊号) 27
ページ: 2833-2838
http://www.dma.jim.osaka-u.ac.jp/kg-portal/aspi/RX0011D.asp?UNO=17710&page=