公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
温度やpHなど細胞外環境の変化や、変異、転写・翻訳過程のゆらぎは、核のDNAにコードされた遺伝情報が正確に機能(蛋白質)に結びつく事を妨害する。これを防ぐにため、細胞システムには、機能から情報へのフィードバックが多数存在していると考えられる。私たちが独自に開発した、「遺伝子綱引き(gTOW)法」は、遺伝子のコピー数を上げて、細胞システムの特定の要素を過剰にドライブさせることができる。このとき、遺伝子のコピー数と蛋白質の発現量の間に相関がないとすれば、核の情報の揺らぎが蛋白質の発現量に影響を与えないようにするフィードバックが、遺伝子発現のシステムに存在している事を示している。そこで、本研究では、酵母の細胞周期関連遺伝子について、gTOWによって遺伝子のコピー数を上げた時に、蛋白質の量にどのように反映されるかを調べ、フィードバックをシステマティックに同定し、その分子機構を明らかにする。最終的には、細胞周期の遺伝子発現制御に組み込まれたフィードバック機構の全容を解明し、その情報を数理モデルへと統合する。上記の目的のためには、遺伝子のコピー数が上がった時にそれが蛋白質量にどの程度反映するかを効率よく調べる実験系が必要となる。そのため、昨年度までに、分裂酵母内で効率よく遺伝子の改変を行なうことができる実験系の開発を行ない、分裂酵母内でGap-Rpair法によって効率の良い遺伝子改変法を開発することができ、学会発表、ならびに論文発表を行なった。さらにこのGap-Repair法を用いて約30の分裂酵母の細胞周期関連遺伝子をgTOW用プラスミドにクローニングし、コピー数の上限をはかるとともに、このデータを用いた数理モデルの評価と改良を行った。この内容は現在論文投稿中である。また、これらほとんどの遺伝子について蛋白質検出用のタグを組み込んだプラスミドの構築に成功した。このプラスミドを用いて定量的なウエスタンブロッティングを行ない、コピー数が上昇した時にそれが蛋白質にどのように反映されるかを標的としている約30の遺伝子すべてで測定することができた。
すべて 2011 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) 備考 (2件)
PLoS genotic
巻: 6
Molecular Systems Biology
巻: 6 ページ: 415-415
PLoS One 5
http://tenure5.vbl.okayama-u.ac.jp./HMlab/
http://tenure5.vb1.okayama-u.ac.jp/Hmlab/