配分額 *注記 |
19,240千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 4,440千円)
2010年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2009年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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研究概要 |
分裂期染色体は、細胞が間期から分裂期に入る際、そのゲノムDNAが凝縮することによって現れる構造体である。ゲノムDNAがヒストンに巻かれたヌクレオソーム構造は、折り畳まれて30nmクロマチン線維になり、さらに階層状に折り畳まれて分裂期染色体を作るとされてきた。しかし私たちは、クライオ電子顕微鏡やX線散乱を用いた構造解析から、分裂期染色体には30nmクロマチン線維のような規則的な階層構造は存在せず、ヌクレオソームが不規則に折り畳まれてできていることを見出した(Maeshima et al., Current Opinion in Cell Biology, 2010)。それでは、生きた細胞の分裂期染色体内部は一体どのような環境なのだろうか?従来の光学・電子顕微鏡観察では、生細胞の染色体内部の状態を調べることは非常に困難であったが、私たちは蛍光相関分光法(FCS)を利用して、生細胞の染色体の環境を調べることにした。FCSは細胞内の微小な観察領域(confocal volume)の蛍光分子の動きを、蛍光強度のゆらぎによって検出する方法である。そして間期核、細胞質、分裂期染色体内部のEGFP分子の拡散定数を解析し、それぞれの環境を比較した。その結果、驚いたことに、高度に凝縮している分裂期染色体内でも、EGFPの拡散定数は、間期核内と比べて大きな差はみられなかった。この結果から、私たちは染色体が非常にコンパクトではあるが、動的な環境であると考えている。 また、私たちはコヒーレントX線の散乱を用いた非結晶物質・生体超分子複合体のための新しい構造解析法を、理研(現北大)・西野らと開発した。この新しい方法は、X線CT(computed tomography)のように、構造解析ができる。そして私たちはヒト染色体をイメージングし、染色体の3次元電子密度マップの決定にはじめて成功した(Nishino et al., Phys Rev Lett.2009)。
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