公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
われわれは昨年から、ほ乳類の本能行動、特に摂食調節に関連したリガンド不明のオーファン受容体に類似したショウジョウバエのオーファン受容体をターゲットにして新規の生理活性ペプチドを単離し、それに対応する脊椎動物ホモログを検索する計画を始めた。これまでにIdalin-1,-2とNeo-NPY-1,2の4種類の新規生理活性ペプチドを単離した。Idalin-1,-2とその2種類の受容体の分布を調べた。Idalin-1はほ乳類の脂肪組織に相当するFat bodyに多く発現が見られ、また精子形成のspermathecaにも多く発現していた。その他、脳神経系での発現も認められた。Idalin-2は脳神経系やthoracicoabdominal ganglionなどの神経節に発現していた。また2種類の受容体のうち2型受容体は消化管に多く存在していた。興味深いのはldalin-1のトランスジェニック生物の行動である。通常のショウジョウバエは幼虫から羽化して成虫になるときに、壁を登る運動を行うが、Idalin-1の過剰発現ハエ幼虫は壁に登らず、餌のある底の部分に留まったままで死亡する。運動機能はほぼ正常であることから、何らかの神経機能の異常で上部への壁登攀運動を行わないか、あるいはIdalin-1の摂食抑制などの働きから、餌のある下部に留まるといった餌を求める本能行動のためかもしれない。またIdalin-1は絶食によって発現量が低下する。つまりIdalin-1は昆虫においても摂食抑制性のペプチドであると考えられた。Idalin-1はハエ幼虫のFat bodyに存在し、その受容体はほ乳類のOenocytesに存在する。このことから、Idalin-1はほ乳類のレプチン様の摂食抑制ホルモンではないかと考えられる。
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