公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
熱帯以外の地域に生息する多くの動物は、特定の季節にのみ生殖活動を行う「季節繁殖」という戦略をとっている。なかでもウズラは洗練された季節適応能力を有しており、生殖腺もごく短い繁殖期にのみ一過的に発達させる。このため非繁殖期の精巣は外見上、未分化な状態にまで退縮する。本研究では生殖活動の季節変化に着目し、配偶子幹細胞/ニッチシステムの制御機構を解明することを目的とした。生物は日照時間の変化をカレンダーとして季節繁殖を制御しているが、哺乳類以外の脊椎動物は脳内に存在する脳深部光受容器によって日長の変化を感知することが知られていた。脳深部光受容器の存在は約100年前にカール・フォン・フリッシュによって指摘されていたが、その実体は不明であった。本研究ではウズラの脳深部に発現する新規な視物質「オプシン5」を同定した。オプシン5は脳内だけでなく、精巣にも発現していることから、今後精巣における機能の解明が期待される。また、ウズラを長日条件から短日及び低温条件に暴露した結果、精巣の退縮が認められた。その際、精巣の形態変化を詳細に解析した結果、精巣の退縮にはアポトーシスが関与していることが明らかになった。また、同時に血中のホルモン濃度を測定し、機能解析を実施した結果、季節繁殖の制御における精巣の退縮には、オタマジャクシがカエルに変態する際に尾が退縮するのと同様な仕組みが関与していることが明らかになった。
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Proc.Natl.Acad.Sci.USA
巻: 107 ページ: 15264-15268
Cell Tissue Res.
巻: 342 ページ: 341-344
http://www.nagoya-u.ac.jp/pdf/research/news/20100803_agr.pdf?20100803