公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
動物の始原生殖細胞(Primordium Germ Cell:PGC)は、胚体外に生まれ、体内の生殖巣に定着するまで、極めて興味深い移動挙動をしめす。トリ胚のPGCの場合、(1)生殖三日月環とよばれる胚体外領域に出現し、(2)血流にのって体内を移動したのちに(鳥類PGC特有の移動様式)、(3)間充織内を移動して、(4)最終的に生殖巣へとたどり着く。研究代表者は、移動中に遭遇する周辺環境が、PGC/GSCのその後の形質発現(増殖、生存および未分化状態の維持など)に大きな影響を及ぼしている可能性を想定し、移動中のPGCと細胞外環境(これをPGCニッチと捉える)に関する研究を行った。代表者はまず、血管内のPGCに遺伝子操作し、さまざまなシグナル系を阻害する実験から、PGCが生殖巣まで辿り着くまでに、PGC自身でNotch、インテグリン、Wnt、cKit、Rhoファミリーを始め、多数のシグナルが必要であることが分かった。次に、PGCの血管内移動機構の研究から、PGCが血管内から体内間充織に侵入するポイントが決まっていること(臓側中胚葉内に発達する毛細血管)を見出した。さらに、PGCがそのポイントに到達する仕組みは、比較的大きな細胞であるPGCが細い毛細血管内に"つまる"という物理的な機構であることを見出した。また、PGCが体内に侵入するポイントとなる血管形成を阻害すると、異所的に頭部に蓄積することも見出した。今後は頭部に蓄積したPGCの性質について詳細に解析する予定である。
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Development Growth and Differentiation
巻: (in press)
Developmental Biology
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 106(18)
ページ: 7467-7472
Developmental Biology 335
ページ: 33-42