公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ミトコンドリアには独自のゲノムがあり、電子伝達系に関わる蛋白を13コードしている。ミトコンドリアDNA維持機構は厳重に調整されていることが考えられているがその分子機構は明らかでない。我々はミトコンドリアDNA維持に関るTFAMに注目しTFAMに結合する蛋白を免疫沈降法で多数同定してきた。このうちERAL-1に着目しその機能解析を行った。本研究ではミトコンドリアDNA維持と翻訳に関わるERAL1およびp32蛋白質の機能について研究した。(方法と結果)(1)ERAL1に結合するRNA、蛋白を免疫沈降法で確認したところ、ERAL1はミトコンドリア12S rRNAと結合することを見出し、さらにミトコンドリア翻訳因子と多数結合することを見出した。sucrose gradientによるERAL1の局在はリボソーム小サブユニットと共局在していた。ERAL1 siRNAをHeLa細胞に処理したところミトコンドリア膜電位の低下を観察した。さらにROSの産生増加を確認した。ERAL1ノックダウンにより細胞はG2/M arrest, apoptosisを起こすことを見出した。これらの結果はERAL1はミトコンドリアリボソーム小サブユニットに結合し翻訳を制御することを示唆している。(2)p32の全身ノックアウトマウスを作製したところ、胎生10週前後で致死であった。この胎児マウスからMEF細胞株を樹立し、ミトコンドリア機能を測定したところ、電子伝達系活性が激減し、おそらくそれに付随してと思われるROSの産生増加を見出した。活性低下はmtDNAコード蛋白質の翻訳障害が原因であった。現在の所、p32はミトコンドリアリボソームにmRNAを結合させ翻訳を開始させる経路に必要であることを示唆する結果を得ている。
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