研究領域 | 水を主役としたATPエネルギー変換 |
研究課題/領域番号 |
21118516
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
神崎 亮 鹿児島大学, 理工学研究科(理学系), 准教授 (50363320)
|
研究期間 (年度) |
2009 – 2010
|
研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
|
配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2010年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2009年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
|
キーワード | ATP / イオン液体 / 酸塩基反応 / 電位差滴定 / カロリメトリー / アデニン / 硝酸エチルアンモニウム / ミセル抽出 / 硝酸エチルアンモニウム(EAN) |
研究概要 |
22年度の研究計画としては、21年度の研究を継続し、プロトン性イオン液体(PIL)である硝酸エチルアンモニウム(EAN)中におけるATP断片化学種の特に小分子について、酸解離平衡の反応熱力学を明らかにすることにあった.特に、21年度の研究遂行において障害となっており、大きな課題と位置づけていた熱量滴定に要する試料量の低減に取り組んだ.熱量滴定装置のセル部分を改修した結果、初期体積を25mLから4mLに大幅に低減することに成功した.このことで、EAN中の酸塩基反応のみならず、一般的なイオン液体中における反応熱測定が可能となった. EANの酸塩基反応について、まず一般的な性質を知るため、簡単な酸および塩基として酢酸およびトリフルオロエチルアミンの酸解離反応熱力学量を決定した.その結果、反応エンタルピーは水溶液中と25~30kJ/mol、エントロピーも80J/mol・K程度の差があり、酸塩基反応メカニズムが大きく異なっていることが明らかとなった.PIL中におけるこれらの反応熱力学量の決定例は世界で初めてである.一方、自由エネルギー変化としては数kJ/mol程度の差しかなく、強いエンタルピー-エントロピー補償効果がはたらいていることが分かった.アデニンについても同様にエンタルピー・エントロピー補償効果が確認されたが、その程度は酢酸やトリフルオロエチルアミンより小さかった.このことは、アデニンが疎水的であるため、EAN中においても水溶液中と同様、疎水水和されていることを示唆する.しかしながら、PIL中における反応熱力学量の解釈や、EANの共役酸・共役塩基の溶存状態や一般的な性質についての情報は皆無で、比較対照も無いため、定量的な議論のためこれらを今後構築していくことになる.また、リン酸部位など他の断片化学種についても今後の検討課題となった.
|