配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2010年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2009年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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研究概要 |
本研究は,Pループ型ATP加水分解酵素の機能発現機構について,分子シミュレーション及び,統計力学解析を用いて解析することを目的としている.本年度は,DNA相同組換えで働く,Pループ型ATP加水分解酵素であるRad51について,分子構造モデリングと分子動力学シミュレーションを行った.Rad51は,DNAの周囲にらせん状のフィラメントを形成する.酵母のRad51に対する結晶構造が決定されているが,そのらせんピッチは130Aであり,電子顕微鏡などの実験値である90~100Aと比較すると若干大きかった.その結晶構造を元に,分子動力学シミュレーションを遂行したが,らせんピッチは増加する一方で実験値に近くはならなかった.そこで,らせんピッチが90A程度とほぼ実験値に近い古細菌のホモログであるRadAの結晶構造を元にして,Rad51のモデリングを行ったところ,ATP塩基のパッキングが,ピッチ130Aの構造と90-100Aの構造で大きく異なることが判明した.ピッチ130Aの構造ではATPが結合していないので,塩基パッキングの影響でATPの安定的結合が形成されなかったと考えられる. また,統計力学理論に基づく水のエントロピー解析を,やはりPループ型ATP加水分解酵素であるF1-ATPaseについて適用した.水のエントロピーは,タンパク質の密なパッキングをもたらす駆動力として効くことが知られている.水のエントロピー解析をF1-ATPaseに適用した結果,サブユニット間インターフェースのパッキングが場所によって,大きく異なっていることが明らかになり,ATP加水分解に付随して起こるγサブユニットの回転の際,大規模なパッキングの移動が起こっており,回転機構に重要な役割を果たしていることが明らかになった.
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