研究領域 | 学際的研究による顔認知メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
21119528
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
菅生 康子 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (40357257)
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研究期間 (年度) |
2009 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2010年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2009年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 顔認知 / 霊長類 / 倒立効果 / 情報量 / 側頭葉 / 下側頭皮質 / サル / 単一ニューロン活動 |
研究概要 |
マカクザルの下側頭皮質は腹側視覚経路に属し、形態情報について最終段階の処理を行うことで知られている。我々は、顔を視覚刺激とした実験で、サル下側頭皮質の単一ニューロンがまず大まかな分類情報(ヒトかサルか図形か)を処理し、それから詳細な分類情報(個体や表情)を処理していることを明らかにしてきた。本研究では下側頭皮質での顔画像の階層的情報処理の脳内メカニズムを解明することを目的とする。理論的研究ではリカレントモデルに基づいた神経回路が階層的情報処理のメカニズムであると推測してきた。本年度はモデル神経回路を用いたシミュレーションで予測されるニューロン活動の挙動が下側頭皮質において観察できるかどうか調べた。シミュレーションでは視覚刺激の画像情報を低下させた場合、後期の持続的な応答の部分で刺激画像選択性が低下する。その結果、大まかな分類情報は保たれるが詳細な分類情報の量が低下することを予測している。画像情報を低下させる処理として顔を倒立して呈示する方法を用いた。心理学的研究により顔を倒立呈示すると個体同定等の精度が低下することが知られている。そこで複数の個体と表情からなるヒトとサルの顔画像を正立あるいは倒立の状態で呈示し、下側頭皮質のニューロン活動を記録した。注視課題を遂行中のアカゲザル1頭を用いて、90個の単一ニューロンの活動を記録した。テスト画像は400ミリ秒間提示した。39個のニューロンについて顔倒立呈示の影響を調べた。その結果、約2/3のニューロン(26/39)で顔倒立呈示で応答が変化した。情報量解析を行った結果、大まかな分類と詳細な分類ともに情報量が低下したが、詳細な分類情報のほうがより少なくなった。これらの結果は一過性の応答よりも後期の持続的な応答が顔情報を低下させる操作の影響を受けることを示す。リカレントモデルに基づく神経回路が妥当であることを示唆する結果と考えられる。
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