公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、格子に複数の異種アニオンが存在する混合アニオン化合物を担体としその上に遷移金属ナノ粒子を担持することで活性な触媒界面構造を形成し、高効率にアンモニア合成および分解を進行させることを検討する。この時、担体中の格子窒素や水素が及ぼす触媒反応への作用機構を解明し、高性能な触媒材料の設計指針を得ることが本研究課題の主な目的である。
担体の格子アニオンサイトによる遷移金属ナノ粒子触媒のアンモニア分解に対する促進効果を調べる中で、六方晶構造を有する新規酸水素化物BaTiO3-xHxの合成に成功した。本材料は、既報の立方晶BaTiO3-xHxと比較して水素含有量が約2倍であり、金属的な特性を示し2.3eV程度の低い仕事関数を有することがわかった。本材料は、大気中水中でも安定であるため、Pdを担持しフェニルアセチレンの選択水素化反応に用いたところ、酸化物担持Pd触媒よりも著しく高い触媒活性を示した。さらに、繰り返して使用しても活性の低下は見られず、触媒を水および大気にさらしても活性の低下は観測されなかった。低仕事関数のBaTiO3-xHxからPdへの電子移動が起こり、負に帯電したPdナノ粒子が高い触媒活性の要因であることが明らかとなった。また、LaH2+xを触媒担体とし、Cuを担持することで100℃以下の低温でCO水素化によるメタノール合成反応が促進されることも見いだした。このような低温条件では、工業触媒として利用されているCu/ZnO/Al2O3触媒は全く作動しない。Cu/LaH2+x触媒上での本反応の活性化エネルギーは、43-47 kJ/molであり、Cu/ZnO/Al2O3触媒の109 kJ/molの約半分であった。LaH2+xは高い電子供与性を持ちCuを通じて吸着したCO分子への電子移動が起こり、COの分極が促進される。さらにCu/LaH2+x界面のH-イオンがCO分子の正に帯電したCに付加されることで、低い活性化エネルギーでHCO中間体が形成される。これらの効果により、低温でのメタノール合成が実現していることが明らかとなった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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