公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究の究極の目標は、降着円盤の角運動量輸送効率を決めている磁気回転不安定(MRI)の非線形飽和過程を理解し、飽和レベル予測関数を導出することである。そして、得られた角運動量輸送モデルを原始惑星系円盤に応用し、多様な惑星形成シナリオの理解に貢献したい。MRI飽和現象と乱流場との相関関係の理解をめざし、線形安定性解析と三次元非線形MHDシミュレーションを駆使し、乱流場中での二次的なMRIの特性を抽出することに挑戦する。大規模数値シミュレーションの膨大なデータの中から、乱流の「ミクロスケールの特徴的な構造進化」と「マクロスケールの乱流飽和過程」との関連を探索することが、本研究の核心部分である。
降着円盤における角運動量輸送は、磁気回転不安定に駆動された磁気乱流が担っていると考えられている。原始惑星系円盤のような弱電離プラズマの場合には、円盤内のどの領域え不安定条件を満たしているかを明らかにすることが重要になる。また、磁気回転不安定以外にも起こりうる不安定性が存在するため、それぞれの相互作用も乱流の特性を決める重要な要素となる。本研究では、対流不安定もしくは鉛直シア不安定による鉛直方向の速度場が磁気回転不安定に与える影響を線型解析によって明らかにしている。鉛直速度シアの振幅と背景磁場強度が系を特徴付けるパラメータになるが、このパラメータ依存性を網羅的に解析し、線型不安定の特性を理解することに成功している。速度シア振幅がアルフベン速度よりも小さいと、磁気回転不安定が卓越して磁気乱流が駆動される。一方、速度シア振幅がアルフベン速度を超えると、磁気回転不安定は抑制され、ケルビン-ヘルムホルツ不安定が支配することになる。したがって、対流運動の速度など定量的な見積りが磁気回転不安定の存在に不可欠であることが明らかになった。さらに、この混合不安定の状況の非線形進化を解明するために、磁気流体シミュレーションの準備も開始している。まずは、局所的な計算として、鉛直シア速度と背景磁場があるシアリングボックス計算の実施を考えいる。本科研費では非線形シミュレーションのための環境整備までを終えられたため、今後の研究で非線形解析を精力的に行なっていく予定である。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件)
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