配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
研究実績の概要 |
鏡像異性体分子の持つ電子カイラリティの値(分子全体に対して電子カイラリティ密度を積分した値)と鏡像異性体分子間のエネルギー差が、鏡像異性体分子の電子励起により著しく増大することを示した。 鏡像異性体分子間のエネルギー差については、前年度の研究でH2X2 (X=O, S, Se, Te)の基底状態構造について示していたが、この増大が2面角に応じてどのように変わるかを調べ、特定の角度で増大が起こることを明らかにした。この増大の中で特に第一励起状態についてはCancellation breaking enhancementと名付けた機構により増大していることを論じた。また、CHFClBr, CHFBrI, CHFClIの分子においてもこの電子励起による鏡像異性体分子間のエネルギー差の増大が起こることを示した。これらの分子に対しても第一励起状態での増大機構はCancellation breaking enhancementによって説明されることが確認された。 鏡像異性体分子の持つ電子カイラリティの値についても、H2X2 (X= S, Se, Te)について2面角に応じて値がどのように変わるか調べ、鏡像異性体分子間のエネルギー差とは異なりほとんどの角度で非常に大きな増大を示していることを明らかとした。X元素が酸素である場合は、本研究グループの先行研究により、スピン軌道相互作用の小ささのために非常に大きな基底関数を用いた巨大計算が必要であり本研究対象からは除外した。そして、この第一励起状態における増大機構は Cancellation breaking enhancement によるものであることを論じた。
|