公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
長周期積層構造を有する遷移金属とレアアースを添加したMg合金は、超高強度、難燃性、軽量という優れた特性から次世代軽量構造材料として注目されている。添加された元素は、Mg母材中で分散し強固な局所クラスターを組織的に形成し、優れた機械的特性の起源と考えられている。そこで本研究課題では、熱処理条件によって局所クラスター構造の形成過程の制御が可能なMg97Zn1Gd2合金に対して、硬X線光電子分光法を用いてクラスター形成の前駆体および形成される局所クラスターの電子状態を直接観測することにより、クラスター形成過程の学理構築を行い、より機能性が高い材料開発を目指す。
長周期積層構造を有する遷移金属とレアアースを添加したMg合金は、超高強度、難燃性、軽量という優れた特性から次世代軽量構造材料として注目されている。優れた機能性および安定性は、添加された元素がMg母材中で分散し強固な局所クラスターを組織的に形成するためと考えられている。特にMg99.2Zn0.2Y0.6合金においては、従前のMg-Zn-Y合金とは異なる局所クラスター構造を形成することが実験的に決定されたものの、これらの局所クラスターの存在がMg-Zn-Y合金において電子構造の安定化にどのように寄与しているのかは明らかになっていない。そこで、本研究では、相安定化に寄与するフェルミ準位近傍の電子構造を直接観測可能な硬X線光電子分光(HAXPES)法と電子状態を理論的に計算することが可能な第一原理計算を組み合わせることにより、Mg-Zn-Y合金系の相安定化のメカニズムの知見を得ることを目的として研究を行った。HAXPESにより観測されたMg99.2Zn0.2Y0.6およびMgにおけるフェルミ準位近傍の価電子帯光電子スペクトルから、フェルミ準位近傍で光電子強度の落ち込みである擬ギャップが観測された。Mg99.2Zn0.2Y0.6では更にフェルミ準位近傍で強度が減少していた。この結果は、電子系エネルギーの低下がMg-Zn-Y合金における安定化機構であることを示している。また、第一原理計算からMg99.2Zn0.2Y0.6合金を模擬した電子構造を計算した結果、Mg3Zn3Y8クラスター周辺のMg原子はZnやY原子と混成軌道を形成することにより、エネルギー利得による電子構造の安定性がMgに比べてMg99.2Zn0.2Y0.6合金では大きいことを示唆しており、この結果は光電子分光測定の結果とも対応している。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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MATERIALS TRANSACTIONS
巻: 64 号: 5 ページ: 950-954
10.2320/matertrans.MT-MD2022023
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