公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
原子核におけるクラスター形成をベリリウムのアイソトープ、及び、炭素12に対してモンテカルロ殻模型により研究する。殻模型は実験室系での物理的情報を与えるが、クラスター形成は原子核とともに動く内部固有座標系でないと見えてこない。最近研究代表者らによって開発された方法によりそれを実現する。炭素12に関しては、クラスターの三角形配置や線型配置の現れ方を、ホイル状態(2番目の 0+ 状態)も含め、原子核の楕円体変形にも関連させて明らかにする。この研究で入力として用いる波動関数は、十分な相関が含まれ、また、クラスター構造を前提にしないで得られたものなので、中立的な立場から以上の研究を進めることになる。
令和4、5年度の研究活動のハイライトは令和4年4月に本研究計画による論文が出版されたことである。出版された学術誌は Nature Communications で、4月27日付でオンライン出版された。この論文のインパクトは大きく、令和6年5月の時点で、Nature Spinger 社提供の情報では論文としての被引用回数は25回で、6388回のオンラインアクセスをいただいている。重視すべきではないかもしれないが、Altmetric は152となっている。Google Schalor での被引用回数も42であり、出版が令和4年4月であることを考えるとかなり高い水準である。引用とは別に、内容的な評価も高く、理化学研究所の「科学道」に紹介され、また、共著者の阿部と大塚は理化学研究所の梅峰賞をこの論文の出版により受賞した。論文の学術的な方向は、まさに本研究計画の目指すものと一致している。ただし、得られた知見は、この新学術研究科学研究費が全体として想定していたものとは異なる。すなわち、ゆるく束縛された場合にクラスター現象が普遍的に起きることを立証しようとしていたようであるが、少なくとも原子核のアルファクラスター形成はゆるい束縛を必要とはせず、核子を束ねている核力がそれを引き起こすからであることを示した。これは画期的な成果であり、著者以外の第3者によって国際会議などでもしばしば紹介されていると聞く。本研究計画の代表者である大塚は、令和4年度から5年度にかけて、主に海外でそれに関する招待講演を行い、また、様々なグループと議論を行った。令和4年度から5年度にかけてさらに研究を進めている。関連するテーマである、原子核の変形形状の研究も大きな進展を見た。現在成果をまとめている段階であるが、70年近く信じられてきた、ノーベル賞の対象でもあった理論に修正が必要である、という重いメッセージとなった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 7件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 16件、 招待講演 16件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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