研究領域 | 量子クラスターで読み解く物質の階層構造 |
研究課題/領域番号 |
21H00118
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
藤岡 宏之 東京工業大学, 理学院, 准教授 (30513395)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | ダブルΛハイパー核 / ストレンジネス核物理 / Time Projection Chamber / 読み出し回路 |
研究開始時の研究の概要 |
通常の原子核を構成する陽子、中性子に加え、Λ粒子を構成要素として含む原子核はハイパー核と呼ばれる。申請者は、陽子1個と中性子2個とΛ粒子2個から構成されるハイパー核に着目し、そのハイパー核を生成し、質量を測定する実験をJ-PARCで行うことを検討している。ハイパー核が2体崩壊した時に放出される負π中間子の運動量を測定することでハイパー核の質量を決定する予定であり、運動量を測定するために用いる飛跡検出器 Time Projection Chamber の信号読み出し回路の整備を本研究において実施する。
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研究実績の概要 |
2個のΛ粒子が原子核に束縛したダブルΛハイパー核の分光実験をJ-PARCにおいて検討している。ダブルΛハイパー核の研究を通じて、2個のΛ粒子の間に働く相互作用の強さについて情報が得られ、陽子・中性子の間に働く核力をフレーバーSU(3)に拡張したバリオン間相互作用の解明に向けた手がかりとなることが期待される。ダブルΛハイパー核は原子核乾板を用いた研究が主流であるが、検討中の実験では磁気スペクトロメータのみを用い、さらに最も質量数の小さい5ΛΛHのみを生成できる実験手法を採用していることが大きな特徴である。ダブルΛハイパー核の弱崩壊により放出される負電荷のπ中間子の運動量を測定することで、崩壊前のダブルΛハイパー核の質量を決定する崩壊π中間子分光という手法を用いる。一様磁場中における負π中間子の飛跡を測定するために、Time Projection Chamber (TPC) というガス検出器を用いる。 本研究では、TPCの読み出し回路の構築を進める。SPring-8のLEPS2実験において開発されたTPCの読み出し回路 (FADCカード) を導入し、カソードパッドに誘起された電気信号を変換し、サンプリングされた波形を保存する。ヒットのあったカソードパッドの位置や信号の波高、信号のタイミングから得られるドリフト時間をもとに、TPCを通過した荷電粒子の飛跡を3次元的に再構成することができる。 TPCは六角柱の形状をしており、6つのセクターに分けられる。そのうち2セクター分のカソードからの信号を読み出すことのできるFADCカードを購入し、テスト信号の波形を記録できることを確認した。その後、TPCに接続し、TPCを宇宙線が通過した際にカソードパッドに誘起された電気信号の波形を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍に関連して研究に必要な実験機器が調達しにくい状況となったため、やや遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
Time Projection Chamber (TPC) のカソードの信号の読み出しに成功したため、全体の1/6に相当する1セクターのカソードの信号読み出しを試みる。それにより、TPCを通過する宇宙線の直線の飛跡の再構成が可能となり、 TPCと読み出し回路の健全性を確認するとともに、TPCの位置分解能などの性能評価を実施する。
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