研究領域 | 量子クラスターで読み解く物質の階層構造 |
研究課題/領域番号 |
21H00127
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
船木 靖郎 関東学院大学, 理工学部, 准教授 (00435679)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | αクラスター / アルファクラスター構造 / アルファ凝縮 / 原子核構造 / α粒子凝縮 |
研究開始時の研究の概要 |
16O原子核までの軽い原子核系の励起状態には、α粒子が平均場を形成し最低エネルギー軌道に凝縮する、α凝縮状態が存在することが知られてきた。 本研究計画では、このα凝縮状態の存在を20Ne原子核においても理論的に明らかにすることを目指し、3種類の異なる微視的、半微視的クラスター模型を用いて多角的に検討する。ごく最近の実験により20Ne原子核には25MeV付近の励起エネルギー領域に5α凝縮状態の候補が観測されているので、この状態の性質を理論的に追及することを最大の目的とし、同時により低い励起エネルギー領域に現れる種々のクラスター構造状態を含め、20Neの包括的な核構造の理解を得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
1. 拡張型THSR波動関数を用いた5α(アルファ)凝縮状態:20Neにおいて、5α凝縮構造と16O+α構造の両方を模型空間に含む拡張型THSR波動関数を用いたスペクトル計算を行った。その結果、5α分解敷居値の上4MeV付近に、4α凝縮状態+αのチャンネルに大きな成分を持った励起状態が得られた。この状態は、単一の完全α凝縮型THSR波動関数と大きなオーバーラップを持った非常に特徴的な状態となっており、5つのα粒子が同一軌道を占有したα凝縮構造を持っていることを顕わに示した。またα崩壊幅の計算により、最近の実験で観測されている5α凝縮状態の候補と考えれる状態に対応する状態である可能性が非常に高いことを示した。 2. 12C+2α直交条件模型を用いた中間励起エネルギー領域のクラスター構造: 5α閾値と基底状態の中間領域に存在が予言されているαクラスター構造について、12C+2αの3体クラスター模型を用いてスペクトル計算を行った。基底状態の他、従来予言されている16O+αの高ノード状態、SU(3)的シェル模型構造状態に加え、新たにα+12C+αに並んだ直線鎖状態、12C+2α構造の発達したクラスター構造状態が、12C+2αの閾値の上に得られた。 3. 5α直交条件模型を用いた、基底状態から5α状態までのフル計算: 5α直交条件模型を用いて、5つのα粒子からなる相対運動をフルに解く、5体計算コードの開発を行った。現在計算プログラムの動作チェックを行っている段階であり、最終年度、本格的な数値計算結果を得る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題遂行において、中国上海の復旦大学所属の研究協力者との対面での研究打ち合わせが非常に重要であるが、コロナ感染症の流行により、上海での打ち合わせが充分にできなかった。そのため1年の研究費繰り越しを行っている状態であるが、それによる遅れを除けば、23年度を最終年度として、本研究課題計画の大きな柱である、拡張型5αTHSR関数、12C+2α直交条件模型、5α直交条件模型を用いた3通りの計算による研究進展は、5α直交条件模型を用いた計算を残すのみとなっており、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、拡張型5αTHSR波動関数を用いた研究結果は論文投稿中であり、12C+2α直交条件模型を用いた研究は、様々な物理量を計算し、必要な研究議論を研究協力者と済ませて論文にまとめる作業中である。最終年度である23年度は、これらの作業をまとめるとともに、5α直交条件模型による数値計算結果を出す。複数回復旦大学に出張し、対面で研究協力者と研究打ち合わせを行った上で、論文にまとめる作業を行う。また他2通りの方法による研究結果を取りまとめた研究の総括を行う。
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