研究領域 | 宇宙観測検出器と量子ビームの出会い。新たな応用への架け橋。 |
研究課題/領域番号 |
21H00164
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
中村 信行 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 教授 (50361837)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 多価重イオン / 量子電磁力学効果 / 相対論効果 / 電子ビームイオントラップ / 量子干渉 / 量子電磁力学的効果 / 偏光 |
研究開始時の研究の概要 |
多価重イオンのエネルギー準位や相互作用には量子電磁力学(QED)効果が顕著に現れる。代表的なQED効果はラムシフトであり、原子核と電子との相互作用におけるQED効果である。一方、電子と電子との相互作用におけるQED効果はブライト相互作用と呼ばれ、電子間による仮想光子の交換により記述される。この仮想光子は、通常波動的性質を持たない粒子として記述される。これをゼロ周波数近似と呼ぶ。本研究は、代表者の有する世界有数の多価重イオントラップ装置と先端的宇宙X線検出器の「出会い」により、ゼロ周波数近似の適用限界を明らかとし、QED相互作用を媒介する仮想光子の電磁波的描像を初めて捉えるものである。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、コンプトンカメラ偏光計を用いた多価イオンの再結合X線の偏光度測定を行っている。これは、宇宙観測用に開発された最先端の検出器を地上の原子物理実験に適用する独創的な研究であり、2019-2020年度の前公募研究において準備が完了し実験も開始していた。2021年度は、検出器の冷却温度を下げることで熱雑音をより抑制した上で、応答特性をより詳細に評価するための検出器回転機構を備えた恒温槽を導入した。今年度はその回転機構付恒温槽を利用して、検出器の角度を変えた測定を繰り返し行うことで、偏光度測定の系統的不確かさをより詳細に評価した。その結果、これまでの解析方法に問題はなく、目的としている精度を満たしていることが改めて確認できた。この結果については本研究に参加した東大大学院生の博士論文の一部としてまとめられ、投稿論文としても準備を進めた。加えて、再結合X線偏光度のスピン反転効果について検討し、その観測のため、より高エネルギー、より高価数イオンによる観測を行った。 上記の実験に加え、昨年度までの実験で得られていたベリリウム様イオンの再結合X線の偏光度に関する予期せぬ結果について検討を深めた。その結果、本来無偏光であるはずの2電子性再結合X線が、放射性再結合との特異な量子干渉効果によって大きな偏光度を示しているということが明らかになった。2電子性再結合は中間状態を介する共鳴的な再結合過程であり、中間状態を介さない非共鳴的な放射性再結合と量子干渉を起こす。通常、量子干渉を起こすのは初期状態と終状態が同じ場合に限られるが、本研究で観測された量子干渉は異なった部分波同士が起こす干渉効果であった。この結果はPhysical Review Letters誌に掲載された他、電気通信大学他からプレスリリースされた。
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現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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