公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
液液相分離するタンパク質は、密集した会合状態を形成し、疾患の原因となる不溶性の凝集体に成長する。この密集状態では、タンパク質中の特定の立体構造を持たない天然変性領域が、かたい分子間βシート構造(不溶性の凝集体)を形成する。このことが神経変性疾患の原因と考えられ、このかたい構造を壊すには、力学エネルギーが必要である。本研究では、ペプチド設計技術と化学・力学エネルギー変換タンパク質を融合し、凝集体をほぐす人工タンパク質の合理的設計を行う。さらに、単分子蛍光顕微鏡や分子動力学シミュレーションを用いて、デザインした人工タンパク質の「化学・力学エネルギー変換」と「凝集体の破壊」との関連を明らかにする。
液液相分離するタンパク質は、密集した会合状態を形成し、疾患の原因となる不溶性の凝集体に成長する。この密集状態では、タンパク質中の特定の立体構造を持たない天然変性領域が、かたい分子間βシート構造(不溶性の凝集体)を形成する。このことが神経変性疾患の原因と考えられ、このかたい構造を壊すには、力学エネルギーが必要である。本研究では、ペプチド設計技術と化学・力学エネルギー変換タンパク質を融合し、凝集体をほぐす人工タンパク質の合理的設計を行った。昨年度に設計したペプチド付き人工タンパク質を、大腸菌にて発現し、液体クロマトグラフィーを用いて精製した。次に、p53の液液相分離状態に、ペプチド付き人工タンパク質と分子レールDNAと化学エネルギーATPを加えたところ、1つのペプチド付き人工タンパク質が予想に反して相分離状態を促進することが分かった。相分離促進のメカニズムを調べたところ、このペプチド付き人工タンパク質が単体で液液相分離することが分かった。この相分離の効果を考慮すると、2種類のペプチド付き人工タンパク質は、p53の液液相分離状態をわずかに促進、または、抑制することが明らかになった。続いて、固体状の凝集体形成の条件で同様の実験を行ったところ、ペプチド付き人工タンパク質は2種類とも固体状の凝集体形成を少し抑制することが分かった。以上より、凝集体をほぐす人工タンパク質を合理的に設計することができた。今後、凝集体抑制効果を高める設計を検討することが必要である。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 4件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件、 招待講演 10件)
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