研究領域 | 発動分子科学:エネルギー変換が拓く自律的機能の設計 |
研究課題/領域番号 |
21H00395
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
坂本 良太 東北大学, 理学研究科, 教授 (80453843)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | ナノワイヤ / ジピリン / アクチュエータ / 配位高分子 / 亜鉛 / 亜鉛錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
外部刺激を伸縮・屈曲などの力学運動・エネルギーに変換するアクチュエータ機能を示す物質が注目を集めるが, 高分子鎖1本1本を単離・可視化しこれを利用することは達成されていない. 対照的に生体分子系では1ユニットの運動を捉えた報告がなされており, この「ナノアクチュエータ」の概念を人工高分子に導入すれば, 生体分子系をも超える最細の系が構築でき, 領域のコンセプトととも合致した追究ともなる. 申請者はワイヤ繊維一本一本が剥離可能な配位高分子「ジピリンナノワイヤ」の創製を報告した. この特異・オリジナルな系をベースに, 単一鎖で光・化学的刺激に対してアクチュエータ機能を示す分子ナノワイヤを創製する.
|
研究実績の概要 |
2021年10月に研究機関の異動があったため、装置移設準備および研究環境整備に忙殺された。末端配位子と架橋配位子から離散的な多核錯体を調製した。ビス(ジピリナト)亜鉛(II)の安定な錯体モチーフのおかげで、これらの錯体はGPCによって混合物から分離することができた。これらの錯体は、1H NMR、ESI-MS、および吸収・発光スペクトルによって特性評価に成功した。我々の知る限り、十六核錯体は離散的な多核錯体分子の最大の例である。多核錯体の配位子配列の決定により、励起子移動挙動の理論モデルを構築することができた。このモデルは非常に単純なものであったが、シミュレーション結果は、フォトルミネッセンス量子収率の測定結果との整合性を示し、構築したモデルの有用性を検証した。さらに、このシミュレーション手法を前章の配位高分子系に拡張し、ジピリンナノワイヤにおける鎖内ホッピングダイナミクスを解明した。このように、定常フォトルミネッセンス分光法と数値シミュレーションを組み合わせた独自の研究手法は、基礎的なナノサイエンスに新たな戦略と知見を提供するものである。 発動分子ワイヤとしては、光発動部位として分子モーターを採用した系を新たに考案した。現在モデルとなる単核・複核錯体を含め、合成を進めている段階にある。プロトンに応答する発動分子ワイヤは、エチレングリコール鎖のワイヤへの導入反応に困難が生じた。現在打開策を検討中であり、時間を要する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年10月、前所属機関の京都大学から現所属機関である東北大学へと異動した。コロナ禍ということもあり、異動後の研究環境整備、および前所属機関から現所属機関への研究ノウハウ移転に遅れが生じたため。
|
今後の研究の推進方策 |
研究環境整備を急ぎ、次いで研究進捗に努める。具体的な研究方策としては、まずは合成・分離が完了しているジピリンナノアレイの光物性評価を行う。得られた光物性データを基に、ジピリンナノアレイ内の励起子ホッピング過程のモデル化を行う。
|