研究領域 | 発動分子科学:エネルギー変換が拓く自律的機能の設計 |
研究課題/領域番号 |
21H00400
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
複合領域
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石割 文崇 大阪大学, 工学研究科, 講師 (00635807)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | ラダーポリマー / 一方向運動 / 屈曲運動 / 精密重合 / 刺激応答性 / 精密合成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では1本の化学結合からなる通常の高分子とは大きく異なる、主鎖に沿って2本以上の結合を持つ精密合成されたラダーポリマーを基盤とし、生体系に匹敵する、あるいは生体系では実現不可能な高度な運動挙動と機能発現を目指し、高効率な運動・変形挙動の伝搬より、屈曲運動や一方向並進運動などを示す発動ラダーポリマー類の開発と機能開拓を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、精密合成されたラダーポリマーを基盤とし、 生体系に匹敵する、あるいは生体系では実現不可能な高度な運動挙動と機能発現を目指し、高効率な運動・変形挙動の伝搬より、[研究項目1] 屈曲運動や[研究項目2]一方向並進運動を示す発動ラダーポリマー類の開発と機能開拓を行う。2021年度は、それぞれの下記のような研究を行った。 [研究項目1] 屈曲運動を示す発動ラダーポリマーの開発:この研究項目においては、まず、N上にアシル基を有するDACO含有ラダーポリマーの合成法を新たに開発した。温度可変NMRおよびDFT計算よりそのDACO環の環反転挙動を調査したところ、これまでに合成してきたN-アルキルDACOよりも環反転に高い活性化エネルギーを有し、遅い環反転挙動になっていることがわかった。これ以外にもN上に酢酸基を有するDACOが弱塩基性水溶液により、室温下で瞬時に定量的に脱炭酸 を進行させるという特異な反応性も見出した。また、八員環の1,5-ジアザシクロオクタン(DACO)構造を主鎖に持つ、精密制御された構造明確なDACO含有ラダーポリマーの合成を目指した。10種類以上の多岐にわたるジアミンモノマーからの重合を検討した結果、ある特定の化学構造を持つモノマーからは、幾何及び立体構造が高度に構造制御されたDACO含有ラダーポリマーが得られることを見出した。 [研究項目2]一方向並進運動を示す発動ラダーポリマーの開発:本年度はどのような構造制御ラダーポリマーが合成できれば、目的とする一方向並進運動を示す発動ラダーポリマーが得られるかを詳細に検討し、その設計指針を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[研究項目1]の屈曲運動を示す発動ラダーポリマーの開発に関しては、発動挙動を調査可能な、構造制御されたDACO含有ラダーポリマーを合成することができ、2022年度にはその挙動の調査が可能である。 [研究項目2]一方向並進運動を示す発動ラダーポリマーの開発に関しては、どのような合成戦略によって、目的とする一方向並進運動を示す発動ラダーポリマーが得られるかを見出したため、2022年度にはその合成に着手することができる。 よって、本年度の研究は概ね順調に進行している言える。
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今後の研究の推進方策 |
[研究項目1]の屈曲運動を示す発動ラダーポリマーの開発に関しては、構造制御されたDACO含有ラダーポリマーに対し、ブレンステッド酸を作用させた際の屈曲運動を、単分子レベルから分子集合体、最終的にはマクロスケールレベルで調査する。 [研究項目2]一方向並進運動を示す発動ラダーポリマーの開発に関しては、2021年度に見出した、目的とする一方向並進運動を示す発動ラダーポリマーが得られる設計指針に則り、その合成および発動挙動の調査を目指す。
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