公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
アルツハイマー病などの神経変性疾患はAmyloid betaやリン酸化Tauによる凝集体をもつシンギュラリティ細胞が出現し、何らかの刺激によりシンギュラリティ細胞が拡大していくシンギュラリティ現象である。自閉スペクトラム症・統合失調症などの精神疾患においても同様の現象が起こっていることが想定される。アルツハイマー病モデルや統合失調症モデルマウスの脳内でT細胞浸潤が亢進していることを明らかにしており、免疫応答と神経疾患発症との関与が示唆される。そこで、本研究では、神経変性疾患・精神疾患の発症のカギとなるシンギュラリティ細胞の拡大を制御する免疫応答を明らかにすることで新規治療法開発を目指す。
アルツハイマー病は、神経変性疾患の一つであり、加齢に伴いアミロイドβ(Aβ)凝集体やリン酸化タウが出現・蓄積することが特徴です。老人斑の主成分であるAβの凝集は、疾患の進行と密接に関連しています。ADモデルマウスであるAppNL-G-Fマウスは、アミロイドβ前駆体遺伝子に4つの家族性AD変異を有し、年齢依存的にAD様の症状・病態を示します。腸と脳の相互作用は非常に注目されており、炎症性腸疾患(IBD)はヒトにおける認知症、特にADの高いリスクと関連していることが知られていますが、ADにおける腸管炎症の基礎的なメカニズムや脳への影響については、まだほとんど分かっていませんでした。IBDモデルの一つであるDSS腸炎を誘導したAppNL-G-Fマウスの脳では、凝集したAβの増加が観察されました。脳内の免疫細胞の詳細なscRNA-seq解析により、腸炎の誘導により脳内の好中球が増加することが分かりました。抗体で好中球を除去すると、腸炎で増加したAβの蓄積が抑制されました。好中球由来のMMP9がAβの蓄積に関与することが示唆されました。これらの結果は、急性大腸炎が起こると好中球がAD脳実質に浸潤し、この浸潤が病気の進行と有意に関係することを示唆しています。したがって、好中球を標的とした治療により、AD初期に観察されるAβ蓄積を減少させ、大腸炎によるADリスク上昇を防ぐことができる可能性があります。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件)
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