研究領域 | 生涯学の創出-超高齢社会における発達・加齢観の刷新 |
研究課題/領域番号 |
21H05335
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
寺岡 諒 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 特別研究員(SPD・PD・RPD) (10896666)
|
研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
|
キーワード | 実験心理学 / 聴覚心理学 / 加齢 / 注意 / 実行機能 / 選択的注意 / 異種感覚間対応学習 / 学習 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトは,周囲の様々な物体や事象から発せられた膨大な感覚信号に常にさらされている。脳は,これらの情報全てを一様に処理するのは困難なため,注意による情報の取捨選択を行い,必要な信号を選択的に処理している。一般的に,注意機能は加齢に伴ってその特性が変化し,精度が低下する。注意機能は,自動車の誤運転や振り込め詐欺等といった,高齢化による社会問題の一部と密接に関与していることから,高齢者の注意機能の様相の全容解明や注意機能の低下に対する解決策の確立は喫緊の課題である。本研究は,特に脳の可塑性に着目し,高齢者の注意機能を改善させる手法を確立することを目的とする。
|
研究実績の概要 |
人間は,様々な物体や事象から発せられた膨大な感覚信号に常にさらされている。これらの情報全てを脳は一様に処理するのは難しいため,注意による情報の取捨選択を行い,重要な信号を選択的に処理している。一般的には,加齢に伴ってその特性が変化し,機能が低下することが知られている。この機能は,特に自動車の運転や振り込め詐欺等といった,高齢化による社会問題の一部と密接に関与しているため,高齢者の注意機能の全容解明や注意機能の低下に対する解決策の確立は喫緊の課題である。 この目的を達成するためには,まず【A】若齢者と高齢者の注意機能の様相の比較から,加齢に伴う注意機能の変容を明らかにする必要がある。加えて,その知見を基盤として,【B】脳の可塑性による高齢者の注意機能の改善手法を確立することを目指す。 【A】に関しては,まず高齢者の各モダリティにおける注意機能を検討した。実験の結果,視覚の注意機能は若齢者と同等であるのに対し,聴覚の注意機能は大きく低下していることを示した。加えて,本年度は特に,奥行き方向から接近する音に対する聴覚的注意効果に焦点を当てた。実験では,接近する聴覚刺激に対する反応から注意効果の定量化を試みた。また,若齢者と高齢者を対象として同様の実験を行うことで,注意効果の加齢変化について検討した。実験の結果,接近する聴覚刺激に対する注意効果は若齢者と高齢者で大きく異なることを示した。また,以上の結果と実行機能(ワーキングメモリや運動機能)との関連性も示された。これらの結果は,脳の可塑性で高齢者の注意機能を改善できる可能性を示している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度中に【B】脳の可塑性による高齢者の注意機能の改善に関する研究に着手する予定であったが,新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により,予備実験にとどまっている。よって,総合的にはやや遅れていると評価する。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の目的を達成するためには,まず【A】若齢者と高齢者の注意機能の様相の比較から,加齢に伴う注意機能の変容を明らかにする必要がある。加えて,その知見を基盤として,【B】脳の可塑性による高齢者の注意機能の改善手法を確立するという2つから構成されている。 本年度は,【A】若齢者と高齢者での聴覚の選択的注意の空間的・時間的特性を明らかにする。そして,【B】では,これまでの【A】に関連する研究で得られた結果をもとに,注意機能を改善させる手法の確立を試みる。
|