研究領域 | 中国文明起源解明の新・考古学イニシアティブ |
研究課題/領域番号 |
21H05364
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
呂 梦 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 博士研究員 (90894288)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 瓦 / 初期国家形成期 / 黄河中流域 / 製作技術 / 中国考古学 / 造瓦技術 / 新石器時代晩期 / 初期国家形成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、新石器時代晩期の陝西省を中心とする黄河中流域の瓦を起点として、中国における瓦の起源と青銅器時代初期までの発展過程を解明し、併せて、その背景としての初期国家形成期の集団間関係を再構することを目的とする。具体的には、新石器時代晩期~西周初期の出土瓦を網羅的に集成し、その形態的特徴、胎土、製作痕、使用痕などの詳細な観察を通じて型式学的な分類を進めるとともに、製作技術の変遷過程を跡付ける。それにより、初期国家形成期における瓦の生産使用体制およびその背後にあるヒト、モノ、情報の交流を究明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、新石器時代晩期の陝西省を中心とする黄河中流域の瓦を起点として、中国における瓦の起源と青銅器時代初期までの発展過程を解明し、併せて、その背景としての初期国家形成期の集団間関係を再構することを目的とする。 2021年度に行われた新石器時代晩期瓦の収集作業をもとに、2022年度は、二つの方向で研究を進めていた。まずは、中国青銅器時代瓦の資料収集を行って、新石器時代末期に創出された凹字形平瓦の衰退の実態を復原した。現在、凹字形平瓦が発見された青銅器時代の遺跡は、太行山脈の西側に位置する、3ヵ所の遺跡しかない。これに対して、青銅器時代に流行し始めた円弧形平瓦の分布はより広い、上述した3つの遺跡以外、太行山脈の東側の遺跡からも出土した。凹字形平瓦が徐々に円弧形平瓦に取って代わられ、秦の統一以降、古代中国の建物の屋根から姿を消した。もう一つの研究方向は、新石器時代晩期の黄河中流域に流行していた、円弧形丸瓦・凹字形平瓦の組み合わせと、ギリシャのミケーネ文明に使用された、同じ様式の瓦との比較分析である。両者の間では、外形の類似だけではなく、製作技術の面でも似たような部分が存在する。 2022年度は、平瓦に注目して、二種類の瓦の創出と交代の流れ、さらにその背景にある社会的変遷を分析した。また、新石器時代晩期~青銅器時代初期において、円弧形丸瓦・凹字形平瓦の組み合わせがユーラシア大陸の両側に存在していたことに気づき、将来、より広い範囲での国際的な比較研究を行う予定である。蘆山マオ遺跡出土瓦を中心とする論文「Roof Tile Production at Lushanmao Site: a case study of Neolithic roof tiles in China」を国際学術誌Archaeological Research in Asiaに投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度には、蘆山マオ遺跡出土瓦を中心に現地調査を行ったが、それ以降、新型コロナウイルス感染症拡大にともない、中国各地における移動制限措置が実施されているため、対象資料に対する現地調査ができなかった。2022年度は主に報告書と簡報に載せた資料をもとに研究を行った。それが原因で、本課題の進捗状況が当初の企画よりやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、新型コロナウイルス感染症が収束し、中国調査ができるようになった。2023年度には、中国の陝西省、甘粛省、河南省に赴き、石マオ、橋村、鄭州商城などの遺跡に現地調査を行う予定である。その後、前年度の資料調査から得た中国国家形成期における瓦の変化の全体図をもとに、重要な遺跡の現地調査の結果を入れて、より詳細的に凹字形平瓦が代表とする新石器時代晩期の瓦群から、円弧形平瓦が代表とする青銅器時代以降の瓦群への流れを分析する予定である。 また、新石器時代晩期の黄河中流域における円弧形丸瓦・凹字形平瓦の組み合わせと、ギリシャのミケーネ文明の瓦群との類似性につきまして、ユーラシア大陸の両側に発見された両者の間には直接の繋がりがないと考えているが、両者ともに瓦生産の面で影響を与えた古代文明の存在を検討する必要があると考える。今後、ユーラシア大陸中央部の屋根材に関する資料を収集・検討する予定がある。
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