研究領域 | 中国文明起源解明の新・考古学イニシアティブ |
研究課題/領域番号 |
21H05370
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
齊藤 希 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 主任研究員 (10808108)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 土器編年 / 中原地域 / 長城地帯 / 文化交流 / 中国初期王朝時代 / 広域土器編年 / 中国文明 / 地域間関係 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,土器の型式学的検討に基づく広域編年の構築と分布状況の時期的変化の分析を通して,長城地帯と中原地域の交流関係とその背景を解明する事を目的とする。相次ぐ重要な考古学的発見によって,中国新石器時代晩期から初期王朝期にかけての長城地帯の歴史像・地域イメージは刷新されつつあり,中原地域との交流関係に対しても新たな視点と解釈が必要となってきている。交流関係の解明には,多種多様な物質文化の比較検討を行わなければならず,それらの基盤となる編年体系を土器から構築し、さらに、構築した編年体系を基に様々な用途や機能が推定される複数器種の分布状況を検討することで、土器からみえる文化交流の実態を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、新石器時代晩期から初期王朝期の長城地帯と中原地域との地域間関係解明の基礎的な研究として、土器の広域編年を確立し、土器動態に反映される多様な文化交流を解明することである。様々な威信財やヒトの移動・交流を把握する上で不可欠な時間軸(編年)と、多様な移動・交流の前提となる日常レベルでの集団の単位と交流を、土器の分析を通して検討する。今年度は中国での資料調査をおこなうことができなかったが、代わりに刊行された発掘調査報告書や学術雑誌の簡報などから出土土器資料の情報収集とデータベース作成を進めた。特に、太行山東麓における黄土高原から平原地域への過渡地帯(河南・河北)の資料を重点的に集成し、基本的な土器の型式分類および編年の構築をおこなった。この編年を基に土器動態の時期的変遷を検討し、成果の一部を学会発表で公表した。また、近年調査事例が増加している太行山西麓(陝西北部、山西北部)および晋南の資料についても集成と分類作業を進めている。今後、編年の対象地域と資料を拡大し地域間の併行関係を整理することで、領域の多方面にわたる研究成果を一定の時間軸の上で統合するために有用な広域編年の確立を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの流行により、当初予定していた中国での資料調査や学術変革領域研究Aのプロジェクトの他の研究者との共同での研究を実施することが出来なかった。また、現地での最新の調査成果に関する情報収集や、新たに刊行された発掘調査報告書の入手などに関しても困難が生じ、総じて進捗状況は予定よりも遅れている。一方で、国内外への移動が制限される中で所属機関で進めることのできるデータベース作成と分類・編年の作業は一定程度進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
中国への渡航や資料調査をおこなう機関の受け入れ状況など、今後も随時変化すると予想される状況を考慮しながら、国内外での資料調査の実施に向けて計画を進める。また、引き続き発掘調査報告書や学術雑誌の簡報などからの情報収集とデータベース作成を進め、地域間の併行関係を整理する。2023年度で公募研究の研究期間が終了するため、計画研究A01班の研究者の方々と協力しながら、最終的に領域全体で共有できるような広域編年体系の提示を目指す。
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