研究領域 | イスラーム的コネクティビティにみる信頼構築:世界の分断をのりこえる戦略知の創造 |
研究課題/領域番号 |
21H05377
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
二ツ山 達朗 香川大学, 経済学部, 准教授 (20795710)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | クルアーン / イスラーム的コネクティビティ / デジタルクルアーン / SNS / ソーシャルメディア / マテリアリティ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はインターネット上のクルアーンをめぐるやり取りを主たるデータ収集としつつ、文献資料と現地調査(場合によってはオンラインでのインタビューに代替し)を用いる学際的な手法を用いる。 具体的にはインターネットを媒体としたクルアーンと、それ以前から用いられていた媒体の特徴を体系的にまとめ、それらの相違について分析することに加え、ウェブサイトやSNS上でクルアーンが投稿・共有されることによる紐帯や分断の事例を分析する。これらの分析によりクルアーンを伝える媒体の変化とそれによるコネクティビティの変容について明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、クルアーンを人々に伝える媒体がどのように変化しているかに焦点をあてることで、現代的なイスラーム的コネクティビティの変容を考察することにある。具体的には、旧来の媒体は垂直的権力関係が強く働いているのに対し、近年普及したSNSなどの媒体においては、水平的社会関係が構築されているという仮説を出発点とし、その仮説を実証的に考察するために、両媒体の特徴とそれがもたらす紐帯と分断の事例を分析する。 2021年度においては、先行研究を網羅的に精査し、クルアーンを伝える媒体の変容に関する研究の論点をまとめた。2022年度からは、SNS上で投稿・共有されているクルアーンの特徴を分析するために、それらの投稿を頻繁に行っているインフルエンサーに着目し、ムスリム留学生とともにデータを収集した。2022年の後半からは新型コロナウイルス感染症の渡航制限が緩和されたため、マレーシア、インドネシア、チュニジアでインタビュー調査を主としたフィールド調査を行った。 当該年度のはじめの一年間は渡航が禁止されていたため、予定通りの調査が実施できなかった。また、研究会において関連研究者と本課題の考察部分について議論した結果、ムスハフの際に問題となっていたテキストの信憑性や不敬の問題をSNS上で置き換えて議論をしても、イスラーム信頼学について理解を深めるという点では意義は乏しいとの結論に至った。そこで、SNS上のクルアーンの投稿をめぐる動態に焦点をあてた分析・考察を行うことにした。 2022年度までの成果は、研究会での口頭発表二回、ニュースレターでのエッセイ一稿、編著本への章分担執筆一稿を発表した。また2022年7月9日と11月25日~27日に中東イスラーム世界・フィールド研究会と連携した研究会を香川大学で実施し、多くの中東地域研究分野の若手研究者と活発な議論を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度後期と2022年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で海外渡航と県外移動に制限がかかり、申請時に計画していた海外での調査は実施できず、人類学的なフィールドワークによるデータは収集できなかった。また本務先の学務や地域連携事業などに想定外のエフォートが割かれたことにより、必然的に申請時に計画していた時間を研究課題に充てることが難しい状況となった。 しかしながら、国内で実施できることに注力し、研究会を精力的に組織して議論を行い、インターネット上で得られる情報からデータを収集したことで、一定の研究成果を発表した側面もあるため「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は引き続きSNS上の投稿を収集し分析するとともに、新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかった海外での文化人類学的調査も行う。 最終年度にあたるため、これらのデータを先行研究や文化人類学的な議論と照らし合わせることで、研究成果の公開につなげる予定である。
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