研究領域 | 次世代アストロケミストリー:素過程理解に基づく学理の再構築 |
研究課題/領域番号 |
21H05444
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 国立天文台 (2022) 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 (2021) |
研究代表者 |
林 佑 国立天文台, 先端技術センター, 特別客員研究員 (00846842)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 超伝導検出器 / TEM-EDS / 微量元素分析 / STEM / TES / マイクロ波SQUID / 地球外物質分析 / 地球外物質 / 走査透過型電子顕微鏡 / X線分光分析 / 極低温検出器 / X線分光検出器 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽系形成過程の解明は、今日の地球の有機物や水がどのように来たかを解明する手がかりとなる。太陽系の形成当時(原始太陽系)に生成され、惑星に取り込まれることなく星間空間に存在する地球外物質のみが、原始太陽系の状態や進化の過程を直接分析することを可能にする。「はやぶさ」や「はやぶさ2」に代表される地球外物質のサンプルリターンにより、こうした重要な地球外物質の分析が可能となってきた。本研究は、地球外物質を用いて太陽系形成過程での有機物と水和物の進化の解明のために超精密定量分析を可能とする超伝導遷移端型X線マイクロカロリメータの開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、地球外物質のサブマイクロスケールでの分析を可能とする走査透過型電子顕微鏡(STEM)とX線分散型分光分析(EDS)を組み合わせた分析システムの定量精度を一桁以上向上可能なX線検出器である超伝導遷移端型X線マイクロカロリメータ(TESカロリメータ)の開発を行っている。地球外物質の分析を実現するには、高い計数率と高いエネルギー分解能を両立することが必要であり、240素子のマッシュルーム型吸収体TESカロリメータアレイの開発を目指している。TESカロリメータの読み出しには、1素子読み出すのに1個の低温増幅器である超伝導量子干渉磁束計(SQUID)を必要とする。しかし、素子が増えることで、SQUIDの発熱が無視できなくなり読み出し数を制限している。そこで、本研究では、発熱がなく原理的に一本の同軸線で1000素子読み出し可能なマイクロ波SQUIDマルチプレクサ(MW-MUX)システムを導入する。 本年度は、MW-MUXシステムを現在ある希釈冷凍機へ導入するための準備として、導入に必要な4Kと50Kに搭載するHEMTアンプの選定および購入と、導入経路および熱アンカーの設置箇所などを希釈冷凍機の開発会社と検討した。検討の結果、同軸線やHEMTアンプなどのコンポーネントの設置には大きな希釈冷凍機側の変更なく実装可能であることを確認した。しかし、現在検討しているTESとMW-MUXチップを搭載する低温ステージでは、サイズ大きく現在ある希釈冷凍機の外装変更なしに搭載が難しいことが判明し、来年度中にステージの最適化を行い、再設計する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、現在ある希釈冷凍機へのMW-MUXシステムの導入経路やHEMTアンプ等のコンポーネントの設置箇所の検討を企業と共同で行い、MW-MUXシステムの導入がすぐにできる状況まで完了している。一方で、低温ステージのサイズに問題があることが分かり、来年度初めに低温ステージの最適化し低温ステージの小型化を行うための再検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までに進めてきたMW-MUXの導入経路の検討結果を踏まえて、まずTESとMW-MUXチップの搭載低温ステージの最適化を行い、低温ステージの小型化を進めていく。さらに2022年中にMW-MUXシステム現在ある希釈冷凍機へ導入し、240素子中80素子のTES読み出しを実現する。来年度中には実際に導入したシステムを用いて、地球外物質分析を開始する。
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