研究領域 | 高密度共役の科学:電子共役概念の変革と電子物性をつなぐ |
研究課題/領域番号 |
21H05496
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
土戸 良高 東京理科大学, 理学部第一部化学科, 助教 (00814344)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | シクロパラフェニレン / 金錯体 / 酸化還元 / 芳香族性 / ロタキサン |
研究開始時の研究の概要 |
複数のベンゼン環が環状に連結した有機化合物であるシクロパラフェニレンは,湾曲したπ共役系に起因した電子状態を有している興味深い分子である.本研究では,我々が独自に開発した金錯体を用いるシクロパラフェニレンの新規合成手法を応用し,分子内全てのベンゼン環に電子供与性置換基であるメトキシ基を2つ導入した新規シクロパラフェニレン誘導体を合成し,その電子豊富なπ共役系を多段階酸化することによって起因した特異なπ共役構造の発現を目指す.さらにメトキシ基を化学修飾することによって新規な高密度π共役化合物の合成も行う.
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研究実績の概要 |
n個のベンゼン環がパラ位で連結した大環状有機化合物である[n]シクロパラフェニレン([n]CPP)は,その湾曲したπ共役系に起因する特徴的な物性を示すことが知られている.一方,我々は三角形状の大環状金錯体を経由した[n]CPPの新規合成法を開発した.本手法は,短工程かつ高収率で[n]CPPを得ることができ,金(I)錯体が再利用できるため,コスト・環境面でも有用な合成法である.本研究では,我々の開発した合成手法を応用し,ベンゼン環に電子供与性置換基(メトキシ基など)を導入した新規CPP誘導体の合成し,その酸化状態を制御することで高密度共役の実現を目指している. 初年度の研究においては,環サイズの異なる5種類のメトキシ含有CPP誘導体および硫黄を含む高歪み環状π共役化合物の合成に成功し,その分子構造と電子状態を評価した. 本年度の研究においては,メトキシ含有[6]CPP誘導体のゲスト包接能を評価し,電子求引基をもつアルキル鎖に対して有意なゲスト包接能を示すことを明らかとした.これはCPPが柔軟な構造をもつアルキル鎖を認識した初の例である.さらにこのゲスト包接能を利用し,メトキシ含有[6]CPP誘導体を環成分,両末端に嵩高い置換基が導入されたアルキル鎖を軸成分としたインターロック化合物([2]ロタキサン)の合成に成功した.この分子を二電子酸化したところ,軸のメチレンプロトンの1H NMRシグナルが-10 ppm以上まで大幅に高磁場シフトした.これは二電子酸化に付随してCPP部位がall-cis-[22]annulene型の環状共役を形成し,面内芳香族性が発現することで,CPPの環内部に生じた環電流からの遮蔽効果に起因している.以上の結果は,新しい空間共役の構築や電子物性の発現に繋がる重要なものであるといえる.
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現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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