研究領域 | マテリアルシンバイオシスための生命物理化学 |
研究課題/領域番号 |
21H05513
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中川 泰宏 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (90831264)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | NASH / バイオミメティック / アポトーシス細胞 / ホスファチジルセリン / 水酸アパタイト / 免疫寛容 / 免疫抑制 / DDS / マテリアルセラピー |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は先進国で患者数が急増しており、進行すると肝硬変や肝臓がんを誘導する基礎的疾患である。NASHの基盤病態は炎症であり、特に肝組織マクロファージであるクッパー細胞による炎症性サイトカインの産生や血中マクロファージの誘引がNASH進行の要因である。本申請では、NASH治療に有用であるとされている核酸医薬(FGF21 mRNA)を搭載した中空水酸アパタイト粒子を、炎症抑制・クッパー細胞標的機能を持つ高分子で被覆した、有機-無機ハイブリット型核酸送達システムを設計した。
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研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は先進国で患者数が急増しており、進行すると肝硬変や肝臓がんを誘導する基礎的疾患である。NASHの基盤病態は炎症であり、特に肝組織マクロファージであるクッパー細胞による炎症性サイトカインの産生や血中マクロファージの誘引がNASH進行の要因である。アポトーシス細胞が提示するホスファチジルセリン(PtdSer)は、弱い相互作用を介してマクロファージ系の貪食性細胞の発現型を制御し、炎症性サイトカインの産生を抑制するという機能を有することが近年報告されており、核酸医薬と組み合わせることで効果的なNASH治療法となることが予測された。貪食系細胞への核酸送達はエンドソームによる消化を効率的に回避することが重要であるという背景のもと、エンドソーム内で自己崩壊しpH低下を防ぎつつ(核酸医薬の消化を防ぎつつ)エンドソーム膜を破壊することで効果的に核酸を細胞質へと輸送するための材料として、中空状に加工した水酸アパタイト粒子を核酸担持部位として選択した。本研究では、NASH治療に有用であるとされている核酸医薬(FGF21 mRNA)を搭載した中空水酸アパタイト粒子を、炎症抑制・クッパー細胞標的機能を持つ高分子で被覆した、有機-無機ハイブリット型核酸送達システムの実現を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度では、mRNAキャリアとなる水酸アパタイト中空ナノ粒子の合成を試みた。鋳型となる炭素球の粒径を制御する手法を明らかとし、これを利用することで目的の粒径(500 nm程度)の水酸アパタイト中空ナノ粒子の合成に部分的に成功した。また、抗炎症機能を持つホスファチジルセリンポリマー(PMPS)の合成にも成功し、PBS中にて約7wt%の割合で吸着することを明らかとした。 現在はPMPSのHAp上への吸着挙動の調査を進めており、将来的なmRNAとPMPSを同時に吸着させる研究の予備データを収集している。
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今後の研究の推進方策 |
1. PMPS修飾された水酸アパタイト粒子の抗炎症活性・特異性を、マクロファージとKupffer細胞で確認する 2. mRNAを担持した水酸アパタイト粒子の転写効率をマクロファージとKupffer細胞で確認する 3. PMPS修飾・mRNA担持した水酸アパタイト粒子の抗炎症活性を評価し、NASH予防・治療効果を評価する。
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