公募研究
学術変革領域研究(A)
高次脳機能は脳領域間の連続的な神経細胞活動を必要とし、これらの障害は神経精神疾患の高次脳機能障害発症へ繋がる。従って脳領域間の神経細胞活動の正確な評価は、神経精神疾患の診断や病態進行予測のバイオマーカーとなるばかりか、治療標的ともなりうる。しかし、従来の評価法では時空間分解能が不足し、正確な評価が困難であった。そこで本研究では、空間光変調素子を用いたホログラフィック技術をレーザー顕微鏡に組み込み、神経細胞標識法と光遺伝学を用いた細胞活動操作法を組み合わせることで、脳領域間の神経細胞活動を高時空間分解能で評価する技術を構築し、神経精神疾患の病態解明・治療法開発に必要な新たな糸口の提供を目指す。
脳領域の神経細胞活動の時空間的制御が障害されると、高次脳機能障害を主症状とする神経精神疾患が発症する。従って、脳領域・脳領域間の神経細胞活動を正確に評価することは、神経精神疾患の病態を予測するバイオマーカーや治療標的の構築に繋がる。そこで本研究は、空間光変調素子を用いたホログラフィック技術と2光子レーザー顕微鏡を用いて、高次脳機能の指標となる神経細胞活動を光計測・光操作することを目的とした。昨年度に引き続き、アデノ随伴ウイルスを用い、カルシウム感受性蛍光タンパク質(GCaMP)を第一次体性感覚野の神経細胞へ導入することで、神経細胞活動を可視化した。2光子ホログラフィック顕微鏡(1細胞レベルの刺激精度を持つ)を用いて、画面内にある数10個の神経細胞に対して、空間光変調素子で作製したレーザースポットを照射した。その結果、300μm四方を200Hz、最大時には約1000Hzという高時間分解能で神経細胞活動を評価できる実験系を構築できた。次に、アデノ随伴ウイルスを用い、GCaMPと光応答タンパク質を第一次体性感覚野の神経細胞へ導入することで、神経細胞活動の可視化と操作を行い、2Hz、30Hz、200Hzと異なる時間分解能で、光刺激による神経細胞応答を計測した。その結果、200Hzでは、刺激毎で変化する神経細胞の応答タイミングの差異を2Hz、30Hzに比べて鋭敏に検出できた。最後に、アデノ随伴ウイルスを用いてGCaMPを第一次体性感覚野の神経細胞へ導入後、2光子ホログラフィック顕微鏡により150μm離れた平面に存在する神経細胞へレーザースポットを照射した。その結果、従来の2光子顕微鏡による撮像(2~30Hz)に比べ、時間分解能が高く(100~1000Hz)、かつ3次元の空間情報をもつ状態で神経細胞活動を評価可能となった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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