研究領域 | グリアデコーディング:脳-身体連関を規定するグリア情報の読み出しと理解 |
研究課題/領域番号 |
21H05627
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中尾 章人 京都大学, 工学研究科, 助教 (30748926)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | アストロサイト / 酸素 / 酸素センシング / イオンチャネル / 低酸素環境 / 低酸素 |
研究開始時の研究の概要 |
脳は酸素消費が最も活発な臓器の一つであることから、脳内各領域においては、機能に最適の酸素環境から逸脱しないよう監視する酸素センシングと、それを引き金とする適応応答、特に局所への酸素送達の維持が重要になってくる。本研究では我々が見出したアストロサイトの酸素センシング機構に着目し、脳内酸素環境の恒常性維持機構を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
低酸素負荷後に換気量は減少するが、低酸素曝露前のベースラインレベルを上回る状態がしばらく続くことが知られている。低酸素負荷後の持続的な呼吸増強(PHRA:post-hypoxic persistent respiratory augmentation)は、呼吸の短期増強であり、そのメカニズムは未解明であった。本研究では、覚醒下の無麻酔マウスを用い、全身プレチスモグラフィーによって換気量を評価した。薬理学的な評価により、PHRAにアストロサイトが関与することが示唆された。そこでアストロサイト特異的に低酸素感受性イオンチャネルタンパク質TRPA1を欠損させたマウス(asTrpa1-/-)を用いてアストロサイトに発現するTRPA1チャネルのPHRAにおける役割を検討した。asTrpa1-/-はコントロール群と比較して低酸素暴露後5分後にPHRAの有意な減弱が認められたが、10分後の差は認められなかった。したがって、TRPA1チャネルはアストロサイトが司るPHRAに寄与し、呼吸制御に関する神経可塑性に何らかの働きを持っていることが示された。しかしながらasTrpa1-/-でもPHRAは観察されるため、アストロサイトのTRPA1チャネル以外のメカニズムの存在も示唆された。 単離・精製したアストロサイトを用いてトランスクリプトーム解析を行うための実験系の最適化に着手した。 また、Ir錯体をベースとした酸素プローブBTPDM1を用いた酸素濃度の定量のための実験系の立ち上げに着手し、酸素濃度とリン光寿命の対応のための検量線が引くことが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では脳内の普遍的な酸素センシングの分子メカニズム及びその生理学的意義の解明を目的としており、今年度は低酸素負荷後の持続的な呼吸増強(PHRA:post-hypoxic persistent respiratory augmentation)のメカニズムの一端を、アストロサイトの低酸素感受性イオンチャネルタンパク質TRPA1という分子の観点から明らかにしたこと、加えてトランスクリプトーム解析、脳内酸素濃度定量のための実験系の立ち上げに着手することができたため進捗はおおむね順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では脳内の普遍的な酸素センシングの分子機構及び生理学的意義を明らかにするため、1) 酸素センサータンパク質TRPA1の低酸素依存的な形質膜発現制御機構の詳細を検討し、2) アストロサイト自身の生理的な低酸素環境への適応の分子機構へと拡張する。また、低酸素応答に関するトランスクリプトーム解析により、3) 酸素感受性を決定付ける分子基盤を明らかにする。加えて、4) 個体レベルにおけるの酸素センシング生理学的意義を解明する。今後の方針としては下記を計画している。 1), 2) 酸素依存的なTRPA1の細胞表面膜発現制御に重要な段階がTRPA1/NEDD4-1複合体形成であることからタンパク質複合体の詳細を生化学的に探索する。新しい試みとしてAlphaFold2を用いた構造生物学的手法も取り入れる。 3) 低酸素応答に対するトランスクリプトーム解析を行うための実験系の構築を行う。 4) アストロサイト特異的に酸素センサータンパク質TRPA1が欠損したマウスを用いた行動解析により、個体レベルにおける酸素センシングの生理学的意義を解明する。
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