研究領域 | 脳の若返りによる生涯可塑性誘導ーiPlasticityー臨界期機構の解明と操作 |
研究課題/領域番号 |
21H05684
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
坂野 仁 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特命教授 (90262154)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 臨界期 / 嗅覚 / 刷り込み / 神経回路 / 刷り込み記憶 / セマフォリン7A / プレキシンC1 / 遺伝子改変マウス / マウス嗅覚系 / 回路形成の可塑性 |
研究開始時の研究の概要 |
高等動物は発達期における外環境からの感覚刺激によって、脳神経を可塑的に変化させることで社会性・環境適応性などを獲得する。申請者らはマウス嗅覚系を用いて、臨界期における嗅覚刺激が先天的神経回路の強化や神経地図の精緻化のみならず、その出力判断の抑制もしくは修飾を引き起こすことを見出した。 本研究では、この可塑的な変化をもたらすSema7A/PlxnC1シグナルを人為的に強制発現させる事によって臨界期を操作し、匂いの刷り込み記憶にどのような影響が生じるかを明らかにする。更に、匂いの刷り込み記憶による先天的な出力判断の抑制を糸口として、嗅覚情報に基づく意思決定機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
マウスは個体や種の存続のために、嗅覚系を介して、エサの探索や仲間の識別、天敵からの回避などの本能判断を下している。しかし、昨年までの当グループの研究から、幼少の臨界期に特定のニオイを嗅がせておくと、例えそのニオイが先天的に忌避性であっても、好意的なニオイとして刷り込み記憶されることが明らかとなった。そこで本年度は、幼少期のニオイ暴露によって、脳内の神経回路にどのような影響が生じ、匂いの質感が変化するかについて解明を試みた。 授乳期の母親の腹に、忌避性のニオイである4-メチルチアゾール(4MT)を塗布して刷り込むと、仔マウスは4MTに対して誘引行動を示するようになった。ニオイ刷り込みによって影響を受ける脳領域を特定するため、神経活動の指標となるc-fos遺伝子の発現をin situ hybridization法によって解析した。その結果、4MTを含む忌避避的なニオイ物質によって活性化される脳領域(室傍核、分界条床核、扁桃体中心核)の活性化が、4MTの刷り込み記憶によって抑制されていることを確認した。一方、報酬学習や意思決定に関わると考えられている領野(眼窩前頭皮質)の活動が、4MTの刷り込み記憶によって新たに活性化されることを見出した。更に興味深いことに、4MTの刷り込みを行ったマウスは、化学構造上では全く似ていない別な不快臭(プロピオン酸)に対する忌避行動も抑制されていることを発見した。以上の知見は、仔マウスが生得的な質感に関わらず、生存のために様々な環境のニオイに順応できる能力を有していることを示唆している。
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現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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