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翻訳途上の新生鎖に隠された新しい仕組みによって促進されるタンパク質の折り畳み機構

公募研究

研究領域マルチファセット・プロテインズ:拡大し変容するタンパク質の世界
研究課題/領域番号 21H05711
研究種目

学術変革領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅲ)
研究機関東北大学

研究代表者

門倉 広  東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (70224558)

研究期間 (年度) 2021-09-10 – 2023-03-31
研究課題ステータス 完了 (2022年度)
配分額 *注記
10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
キーワードマルチドメインタンパク質 / 新生鎖 / フォールディング / ジスルフィド結合形成 / 哺乳動物細胞
研究開始時の研究の概要

私たちの細胞がつくるタンパク質の約半数以上は複数のドメイン(タンパク質の構造の一部で他の部分とは独立した3次元構造をとる)からなる。試験管内の折り畳み実験ではこのようなタンパク質はドメイン間の相互作用によって凝集しやすい。しかし、細胞内ではこれらのタンパク質の多くは翻訳と共役して効率よく折り畳まれる。従って、その新生鎖上には、各ドメインの効率良い立体構造形成を促進するための、未同定の様々な仕組みが隠されていると予想される。本研究では、独自の実験系を駆使して、ヒト細胞表層タンパク質が細胞内で翻訳合成されつつ折り畳まれる仕組みを調べる。その解析から、新生鎖の配列中に隠された未知の仕組みを解明する。

研究実績の概要

LDL受容体(LDLR)は、悪玉コレステロールの消去に必要な膜タンパク質であり、ジスルフィド結合は7個のRドメインと3個のEGFドメインの各々に3本ずつ存在する。LDLRのようなマルチドメインタンパク質では、自身の立体構造形成を効率化させるため、その新生鎖中には様々な仕組みが隠されていると予想される。その実態の解明に取り組み、本年度は次の実績を得た。
1) LDLRのN末端に存在するRドメインに導入された非天然型のジスルフィド結合は、その遥か下流に存在するβ-プロペラ領域の中央部分をリボソームが翻訳中に、正しい結合へと組み換えられる。LDLRの各ドメインのC末端に終止コドンをもつ変異体やβプロペラ中に作製した点変異体を使った解析から、βプロペラ中のKRK配列が、上流ドメインの効率良い折り畳みに必要であることが分かった。
2) 折り畳みで生じるひっぱり力によって翻訳停止が解除され得ることから、翻訳停止とその解除を繰り返すことによって、タンパク質が効率よく折り畳まれる可能性がある。シグナル配列を欠くため折り畳まれないLDLR変異体をコントロールとして解析を進めたところ、翻訳後にシグナル配列に依存して小胞体へ輸送されるLDLRの存在が解析を困難にすることが判明した。昨年度に引き続き、様々な方法を試した結果、解析の障害になる後者の分子を効率よく除去する方法を開発することに成功した。
3) ヒト細胞表層にはLDLRと類似のドメイン構造を持つタンパク質が多数存在する。LDLRに見られる折り畳み機構の普遍性を調べるため、本年度はVLDLRのcDNAをクローン化した。また、モノクローナル抗体の一つが、VLDLRを立体構造特異的に認識することを見出した。今後の解析に向けて大きな進展である。
以上の他、翻訳途上のタンパク質にジスルフィド結合が形成される仕組みについてまとめ、「化学と生物」で報告した。

現在までの達成度 (段落)

令和4年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

令和4年度が最終年度であるため、記入しない。

報告書

(2件)
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ヒト細胞内で翻訳途上のタンパク質にジスルフィド結合が形成される仕組み2022

    • 著者名/発表者名
      門倉 広
    • 雑誌名

      化学と生物

      巻: 60 号: 11 ページ: 557-559

    • DOI

      10.1271/kagakutoseibutsu.60.557

    • ISSN
      0453-073X, 1883-6852
    • 年月日
      2022-11-01
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cryo-EM analysis provides new mechanistic insight into ATP binding to Ca2+-ATPase SERCA2b2021

    • 著者名/発表者名
      Yuxia Zhang, Satoshi Watanabe, Akihisa Tsutsumi, Hiroshi Kadokura, Masahide Kikkawa and Kenji Inaba*
    • 雑誌名

      EMBO Journal

      巻: 6 号: 19

    • DOI

      10.15252/embj.2021108482

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] ヒト細胞の小胞体中における タンパク質の折り畳みを促進する仕組みの解析2023

    • 著者名/発表者名
      門倉 広
    • 学会等名
      第78回 東京工業大学細胞制御工学研究センターコロキウム
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 小胞体中におけるマルチドメインタンパク質の 翻訳と共役した折り畳みを促進する仕組み2022

    • 著者名/発表者名
      門倉 広
    • 学会等名
      第22回 日本蛋白質科学会年会 ワークショップ:細胞内タンパク質世界の新視点-翻訳から液-液相分離まで
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒトPDIファミリー酵素によって触媒される タンパク質のジスルフィド結合形成機構2022

    • 著者名/発表者名
      門倉 広
    • 学会等名
      第23回酵素応用シンポジウム 研究奨励賞受賞講演
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ヒト小胞体膜タンパク質LMF1による膜を介した電子移動メカニズムの解析2022

    • 著者名/発表者名
      佃 竜介, 原田 楠子, 平井 直也, 東 晃太, 小林 大樹, 松本 雅記, 稲葉 謙次, 門倉 広
    • 学会等名
      第45回 日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Mechanism of oxidative folding of a multidomain protein, LDL receptor, assisted by PDI family members2022

    • 著者名/発表者名
      Hao Wu, Naoya Hirai, Yui Dazai, Kenji Inaba, Hiroshi Kadokura
    • 学会等名
      第45回 日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 細胞内で翻訳合成途上のLDL受容体にジスルフィド結合が形成される仕組み2021

    • 著者名/発表者名
      門倉 広,平井直也,福田 洋,太宰 結,稲葉謙次
    • 学会等名
      第94回日本生化学大会, Web開催
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] ヒト細胞小胞体関連機能の変化を検出するための鋭敏で簡便なレポーターの開発と機能評価2021

    • 著者名/発表者名
      原田楠子, 八巻 聡, 平井直也, 中村大祐, 河野憲二, 稲葉謙次, 門倉 広
    • 学会等名
      第44回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [備考] 東北大学大学院生命科学研究科/研究/研究者紹介/門倉 広

    • URL

      https://www.lifesci.tohoku.ac.jp/research/teacher/detail---id-19734.html

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書 2021 実績報告書

URL: 

公開日: 2021-10-22   更新日: 2023-12-25  

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