公募研究
学術変革領域研究(A)
タンパク質のN末端配列にはなぜ特徴的なアミノ酸が高頻度に出現するのか?また、その特徴が生物種によって異なるのはなぜか?その機能的意義は何か?本研究ではそれらの問いに答えるためのテクノロジーを創出し、全プロテオームを対象としたN末端配列コードの共通原理を見出す。具体的には、情報学的解析とプロテオミクス解析を組み合わせて、プロテオームのN末端配列の意義を明らかにする。「N末端コード」の視点から「タンパク質の新しい側面」を明らかにする本提案は、「プロテオームの構成機構」に関する本質的な理解に迫ることができると考えている。
本年度はN末端コードを解読するためにN末端ペプチド-タンパク質相互作用実験を進めた。具体的には、タンパク質N末端2残基目のアミノ酸の出現頻度とそのアセチル化の関係、 またそれらに結合するタンパク質を系統的に同定した。以上の実験により、N末端コードの意義をアミノ酸種とアセチル化の観点から理解することを試みた 。また、タンパク質 N末端領域に疾患関連変異が存在することが知られている。これらの変異によるタンパク質相互作用への影響を定量的に明らかにし、変異が翻訳中のイベントに影響を与え疾患につながるのか?という問いに迫った。これらの目的を達成するために、15アミノ酸残基を並列に配置したペプチドアレイと細胞ライセートをインキュベーションし、ペプチドに結合したタンパク質を質量分析で包括的に同定した。その結果、タンパク質N末端がアセチル化されなければ種々のユビキチンE3リガーゼと結合し、分解される傾向にあることを見出した。逆にタンパク質N末端アセチル化は一般的にタンパク質を安定化する傾向があることや、N末端の疾患関連変異がタンパク質を不安定化すること等がわかってきた。また本研究で開発したN末端ペプチドを固定化したペプチドアレイと質量分析を用いることで、包括的且つハイスループットに結合タンパク質をプロファイルすることが可能となった。今後、細胞内でも「N末端コード」の意義を明らかにし、その普遍的な共通原理を見出していきたい。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 5件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件、 招待講演 10件)
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