公募研究
学術変革領域研究(A)
筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病といった重篤な神経変性疾患は、構造異常タンパク質が細胞内で凝集体を形成して引き起こされる。本申請では、これらの凝集体の細胞内の形成・抑制の機構をクライオ電子線トモグラフィー法を用いた in situ 構造解析により解析する。ハンチンチン遺伝子やTDP43の凝集体をモデル凝集体とし、リボソームやシャペロン分子のTRiC/CCT複合体といった分子が細胞内で実際にどのように凝集体と関わりその形成と抑制を制御しているのかを構造を基に明らかにし、神経変性疾患の病態の解明や新たな治療法の開発につなげたい。
酵母プリオンの細胞内凝集体の構造解析を目指し、蛍光標識された細胞内凝集体を標的にしたcryo-FIB millingによる薄片化とクライオ電子線トモグラフィーによる解析に挑戦した。出芽酵母の[psi+]株内にGFP標識Sup35NMタンパク質を発現させ細胞内凝集体を形成させたところ、凝集体と思われるドット状の蛍光体を確認した。さらに低濃度の塩酸グアニジンの添加によってロッド状の蛍光体に変化することを確認し、二つの異なる状態の凝集体を形成させた。培養した酵母をそのままグリッドに急速凍結させた後、理化学研究所・横浜事業所のcryo-FIBSEM(Aquilos2)を用いてクライオ条件下での薄片化(ラメラ化)を行なった。得られたラメラを同事業所の加速電圧300kVの透過電子顕微鏡(Titan Krios)を用いて、トモグラフィー測定を行なった。複数のラメラのトモグラフィー測定を行い、解析した結果ミトコンドリアや核膜を確認できた。また細胞内の微小管も確認することができた。しかし、細胞内の凝集体については確認することができなかった。新たにcryo-FIBSEMに蛍光顕微鏡ユニット(iFLM)が設置されたので、今後はラメラ化と蛍光標識を同時に行うことにより、ラメラ内の凝集体を確認した上でのトモグラフィー測定を行う。次に、培養細胞を用いてアミロイドβ線維やタウ線維のin situ構造解析に挑戦した。Aβ(1-42)、タウのリピートドメイン(3R, 4R)、全長タウ(1N3R)、それぞれのタウに病原性変異(P301L)を導入したものに蛍光タンパク質を融合させた。蛍光タンパク質には mCerulean3, mClover3 のそれぞれを用い、凝集体形成によってFRETが起きるように工夫した。それぞれの遺伝子をpiggyBac系によってゲノムに導入して安定発現株を樹立した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
Structure
巻: 31 号: 3 ページ: 318-328.e3
10.1016/j.str.2023.01.006
Nature Communications
巻: 13 号: 1 ページ: 7180-7180
10.1038/s41467-022-34930-1
Nat Commun.
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10.1038/s41467-022-34779-4
巻: 13 号: 1 ページ: 1977-1977
10.1038/s41467-022-29563-3
Cell Metabolism
巻: 34 号: 4 ページ: 564-580.e8
10.1016/j.cmet.2022.03.005