研究領域 | DNAの物性から理解するゲノムモダリティ |
研究課題/領域番号 |
21H05746
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
菅瀬 謙治 京都大学, 農学研究科, 教授 (00300822)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | NMR / 二本鎖DNA / 動的構造 / エピゲノム修飾 / 溶液環境 |
研究開始時の研究の概要 |
二本鎖DNAの二重らせん構造は、配列に依らずほぼ同じ構造のように見える。しかし申請者らは最近、1塩基レベルで構造ゆらぎを解析できるNMR法を開発し、二本鎖DNAは予想以上に揺れ動くことを明らかにした。このような局所的な構造ゆらぎの情報は、近年ホットなメゾスケールのDNA構造のモデリングに有用である。しかし、二本鎖DNAの構造ゆらぎは未開拓な点が多く、その法則性も明らかでない。そこで本研究では、種々のエピゲノム修飾を含む二本鎖DNAを対象とし、未だ手つかずの、核内模倣環境および結合タンパク質の存在下における構造ゆらぎを1塩基対レベルで解析し、その法則性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
これまでにも二本鎖DNAのダイナミクスをNMR(R1ρ dispersion法とCLEANEX-PM法)により解析していたが、用いていたパルスプログラムが古いため、水の巨大なシグナルが消えにくい、ベースラインが歪む、わずかにパラメータが異なる非常に多くの実験セットをセットアップしないといけない(NMR測定をセットアップするのに1時間以上かかる)、という問題を抱えていた。そのため、本研究では、きれいなNMRスペクトルを少ない労力で得られるようにパルスプログラムを更新する作業から始めた。ここでの改良点は、(1)より水のシグナルが消えやすいパルスプログラムを組み込む。(2)ベースラインが歪む原因となるパルスプログラム内のディレイタイムを最適化する。(3)異なるパラメータをリスト化し、それを読みこみ、たった1つの実験セットをセットアップするだけで良くする。 この3つの改良点をR1ρ dispersion法とCLEANEX-PM法のそれぞれに適用した結果、ものの10分もかからないうちに両測定のセットアップができるようになった。しかも、得られるスペクトルは非常にキレイである。この新しいパルスプログラムをまずはバッファー中の二本鎖DNAのダイナミクス解析に適用した。ここで得られた結果は、続く実験の比較対象になるものである。 また、班員でもある横浜市立大学の古川亜矢子助教と共同研究を開始し、横浜市立大学にある日本最大のNMRである950 MHz NMR装置を用いて測定を行った。測定対象としているのはDNAのイミドプロトンであるが、このシグナルは重なりやすいため定量的な解析が難しいが。しかし、950 MHz NMRでは分解能が非常に高いためより低磁場のNMR装置では重なってしまうシグナルも分離して観測できるというメリットがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該領域の科研費の審査結果が開示されたのが9月で、実質の研究活動時間が約半年と限られていたため、1年間を想定していた研究計画からはやや遅れをとっている。ただし、上記のようにNMR測定が極めて簡便に行えるようにセットアップできており、かつ、サンプル調製は容易であるため、随時測定を行っていけば遅れを取り戻せると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、最適化したパルスプログラムを用いて、核内模倣環境における二本鎖DNAの構造ゆらぎを1塩基対レベルで解析する。核内環境の模倣には平均分子量が200 Daのポリエチレングリコール(PEG200)を用いる。PEG200が核内環境の模倣に最適であること、およびそれが核酸へ及ぼす影響は、甲南大学の杉本直己らが精力的に研究している。杉本らは核内模倣環境でメチル化DNAの融解温度が低下することも報告している。 また、紫外可視分光光度計を用いて試料溶液の温度を上げながら260 nmの吸光度をモニターする。この実験によって、二本鎖DNAが一本鎖に分かれる融解温度を決定し、核内の模倣環境においてエピゲノム修飾が二本鎖DNA分子全体の熱安定性に及ぼす影響を明らかにする。この実験は核内の模倣環境中でメチル化により融解温度が低下したという杉本らの結果に一般性があるのか否かを検証する狙いもある。なお、バッファー中ではエピゲノム修飾が融解温度をほぼ変えないことを先行研究で明らかにしている。
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