研究領域 | 実世界の奥深い質感情報の分析と生成 |
研究課題/領域番号 |
21H05838
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
三浦 貴大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80637075)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | インクルーシブ質感 / 視覚障害 / オノマトペ / スクリーンリーダ / 可聴化・可触化 / COVID-19 |
研究開始時の研究の概要 |
視覚障害者への情報補償方法の発展・普及の必要性が増しており,様々な感覚代行手法が開発されてきた.だが,視覚障害者は独特の感覚・知覚・認識系を持つため,晴眼者への提示手法がそのまま使えるとは限らない.一方で,視覚障害者の独自の質感知覚に関しては未だ不明点がある他,晴眼者の質感知覚との共通性についても未解明な点が多い.この点が解明されれば,視覚障害者における多彩な質感を提示できる手法の開発だけでなく,その手法を用いた晴眼者との感覚体験の共有ができると考えられる.そこで本研究の目的を,視覚障害者・晴眼者が同様の質感体験を共有するためのインクルーシブな質感提示法を解明することとする.
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研究実績の概要 |
2021年度の結果は以下の通りである. 1)オノマトペを用いた視覚障害者と晴眼者の質感の捉え方の共通性・固有性の解明:晴眼者・視覚障害者において,日常生活で感じる聴覚・触覚的な質感的手がかりに関するアンケート調査・分析を行う.視覚障害者において,生活上で使われる聴覚的・触覚的オノマトペについて調査により抽出した. 2)視覚障害者が画像情報を直感的に理解するための可聴化・可触化法の構築:視覚障害者がスマートフォンを用いて地図情報を把握するために開発したOTASCE Mapにおいて,地図上のルートをなぞりやすい音触パタンを調べた.結果より,音・振動などを組合せる事で,ルートのなぞりやすさが高まる点が示され,マルチモーダル性が重要である点が示唆された.また,可聴化された視覚情報を多く取扱えるものとしてコンピュータゲームを題材にし,視覚障害のある人達が遊べるゲームにおける感覚提示の状況・方法などを「視覚障害者向け アクセシブルゲーム 情報 まとめWiki」を通じて分析した.結果より,ゲームを進める上での前提となる情報・知識がアクセシブルで,なおかつ音・効果音が細かく付与されている状況が重要と分かった.さらに,ゲーム空間における五感情報理解を推進するための触覚ゲームコントローラについて,小型化を試みると共に,これを活用したゲームについて検討を実施した. 3)視覚障害者への空間印象の可聴化法の解明:COVID-19感染防止のために多くの人たちがマスク着用が励行された情勢を踏まえ,視覚障害者におけるマスク着用時の五感活用の状況を調査した.結果より,特に全盲の人達で,聴覚・嗅覚がより鈍くなった自覚がある可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染防止の観点から調査を行いにくい状況であった.ただし,次第にCOVID-19の感染流行が収まりつつある状況にあるため,引き続き感染防止に注意しつつも,評価検討を進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き以下の課題に取り組む. 1)オノマトペを用いた視覚障害者と晴眼者の質感の捉え方の共通性・固有性の解明:前年度に引き続き,晴眼者・視覚障害者において,日常生活で感じる聴覚・触覚的な質感的手がかりに関するアンケート調査・分析を実施する.前年度までに得られたアンケート結果の分析を継続的に行うことで.生活上のオノマトペ空間を晴眼者・視覚障害者において生成する.さらに,文脈ごと・動作ごとに知覚されうる質感について,共通性・固有性に関して考察する. 2)視覚障害者におけるフォント付き文字情報の理解を支援する可聴化・可触化法の構築:フォントと声質の対応付けを,晴眼者に行ってもらうと共に,フォントの印象を形容詞対を用いて7段階で評価してもらう.この際,フォントの種類は,明朝・ゴシック・丸ゴシック・手書き風などを取り扱い,対応させる声質を変更できるものとする.その上で,フォントの見た目と声質の対応関係についてマッピングする. 3)視覚障害者が画像情報を直感的に理解するための可聴化・可触化法の構築:タッチスクリーン端末に表示された画像の理解を助ける直感的な聴覚・触覚的提示方法の解明を狙う.このため前述したOTASCE Mapでの検討に加え,新たに触覚を活用した訓練を効率化できるようなゲーム開発を試みる. 4)視覚障害者への空間印象の可聴化法の解明:晴眼者が視覚的に捉える空間印象を,視覚障害者が聴覚的に捉える事象に関して深堀り調査を行う.昨年度は空間印象について視覚障害当事者への調査を実施した.特に,COVID-19流行状況を踏まえマスク装用による影響も調査した.この結果の分析を進めるとともに,その際に列挙された状況を模擬した音源を作成する.この音源を,視覚障害者における聴感評価にて評価することで,空間知覚に利用しうる因子について分析の上,空間印象の認識を助ける音提示手法を構築する.
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