研究領域 | 分子サイバネティクス ー化学の力によるミニマル人工脳の構築 |
研究課題/領域番号 |
21H05866
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹澤 悠典 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (70508598)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | DNA / 金属錯体形成 / DNA鎖交換反応 / DNAナノテクノロジー / 鎖交換反応 |
研究開始時の研究の概要 |
分子材料を組み上げてミニマル人工脳(ケミカルAI)を構築するには、個々の分子デバイス間や人工細胞間における情報伝達の実現が鍵となる。本研究ではシグナル伝達物質として金属イオンに着目し、金属イオンを入力として作動するDNA分子デバイスの開発を目的とする。具体的には、金属イオンを介して塩基対を作る人工ヌクレオチドをDNA配列に挿入し、金属錯体形成をトリガーとしたDNA鎖交換反応やDNAzymeの活性スイッチングに基づくDNA情報伝達回路を構築する。配位子部位の分子設計や人工DNAの配列設計を詳細に検討し、様々な種類・酸化数の金属種や金属イオン濃度に適用できる汎用的な設計指針を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究では、DNAナノテクノロジーと金属錯体化学の双方に立脚し、金属イオンをシグナル伝達物質としたDNA分子回路を構築することを目的とした。本年度は主に、金属イオンに応答する核酸塩基として5-ヒドロキシウラシル(UOH)を用い、Gd(III)イオンを入力刺激としたDNA鎖交換反応を検討した。具体的には、末端に4対の水素結合型UOH-A塩基対を含む25塩基長のDNA二重鎖1・2と、末端のA塩基をUOH塩基に置き換えたDNA鎖3とを用い、金属錯体型UOH-Gd(III)-UOH塩基対を含む二重鎖1・3への鎖交換を試みた。蛍光標識したDNA鎖を用いてFRETにより鎖交換の進行を評価したところ、4当量のGd(III)の添加により鎖交換反応が誘起されることがわかった。また、EDTAによりGd(III)イオンを除去することで、逆反応が進行することも確かめられた。さらに、UOH塩基を導入したDNAヘアピン構造を用いて、Gd(III)イオンによるヘアピンDNA連鎖反応の誘起の検討も行った。また、その他の金属イオンに応答するDNA分子回路の構築を目的とし、修飾塩基であるエテノアデニン(eA)のDNA二重鎖中での金属錯体形成について解析した。その結果、eA-eA対を3対以上連続して導入した場合に、Cu(II)イオン添加により金属錯体型eA-Cu(II)-eA塩基対が形成し、DNA二重鎖が大きく安定化されることを見出した。今後は、これらの修飾DNA鎖を基本要素とし、DNAzymeの活性制御や分子演算回路の構築への応用を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、金属イオンをシグナル伝達物質としたDNA分子回路の構築を目的としている。本年度は主に、金属イオンに応答する核酸塩基として5-ヒドロキシウラシル(UOH)を用い、Gd(III)イオンを入力刺激としたDNA鎖交換反応を検討した。末端に4個のUOH塩基を導入した25塩基長のDNA鎖を用いることで、Gd(III)イオンの添加および除去を入力としてDNA鎖交換を誘起することに成功した。さらに、ヘアピンDNA連鎖反応などの増幅系への応用も検討を進めた。また、Cu(II)イオンを介して金属錯体型塩基対を形成するエテノアデニン(eA)塩基についても、DNA二重鎖安定化の系統的な評価を行った。 以上のように、DNA分子回路の基盤となるDNA鎖交換反応を金属イオンを入力シグナルとして制御することに成功しており、研究は計画通り順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は主に、5-ヒドロキシウラシル(UOH)塩基を用いて、金属イオンに応答するDNA鎖交換反応の開発を進めた。次年度以降は、(1) UOH塩基を用いた機能性核酸の活性制御や分子演算回路の開発、および (2) Cu(II)イオンなどその他の金属イオンに応答するDNA分子システムの構築を進める予定である。具体的には、DNAzymeの活性制御や論理回路・増幅回路への応用を検討する。また、UOH塩基以外にもエテノアデニン塩基や5-カルボキシウラシル塩基の金属錯体形成に基づくDNA鎖交換の開発も進める。
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