研究領域 | フレーバー物理の新展開 |
研究課題/領域番号 |
22011005
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 北海道大学 (2011) 大阪大学 (2010) |
研究代表者 |
波場 直之 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00293803)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2011年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2010年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | LHC・ILCでの検証 / インフレーション / 超対称性理論 / 余剰次元理論 / 大統一理論 / バリオン数生成 / ダークマター / ヒッグス粒子 / LHC実験での検証可能性 / ニュートリノ / 等価定理 / 境界条件での対称性の破れ |
研究概要 |
本研究の目的は、素粒子の標準模型の背後にある新しい物理(new physics)の探求を、主として模型構築の見地から行い、LHC・ILC実験でどの様に観測されるかを解析することである。この目的に向かって研究計画をたてて、研究を行った結果、23、24年度は主に以下の研究実績が得られた。 (1):バリオン数がダークマターから生成される新しい模型を構築することに成功した。この模型は、更に、宇宙のダークマターのエネルギー密度がバリオンのそれの約5倍であることを自然に説明する。 (2):インフレーション、ダークマターエネルギー密度、そして、バリオン数生成を同時に説明する新しい模型を構築し、解析した。 (3):余剰次元ゲージ理論の枠組みで、境界条件でゲージ対称性を部分的に破る場合、この条件で重くなったゲージポソンの散乱振幅のエネルギー依存性の解析を、Wilsonライン位相をパラメータにして、おこなった。この解析により、高次元ゲージ理論における等価定理に対する理解を深めることができた。 (4):24年度に、LHC実験においてヒッグスらしき粒子の発見があり、γへの崩壊モードが、標準理論の予言値から大きくずれている報告を受け、ヒッグス粒子が複合粒子で構成されている超対称性理論を構築し、LHC実験における2つのγへの崩壊確率が説明できることを示した。 (5):ニュートリノ質量の小ささが、未発見のγビッグス粒子の真空期待値の小ささに起因するγヒッグス理論の構築を大統一理論で構築した。この理論では、B物理とニュートリノ振動実験に関連があることを示し、新しい予言を与えた。 (6):パリティの破れの新しい研究に関して、超対称性理論では、超対称性粒子の質量差が起源で、強い相互作用でもパリティが破れることを世界に先駆けて指摘し、LHC実験においてトップ対生成のヘリシティを測定することによって、超対称性粒子の質量差が起源のパリティの破れが観測できる可能性を示し、解析をおこなった。 (7):クォークとレプトンが大統一理論では統一されることをふまえて、クォークとレプトンの世代構造が高エネルギー・スケールでは統一される可能性に関して解析をおこなった。その結果、クォークとレプトンの世代構造が、WeakスケールやTeVスケールで異なる構造を持つのは、ニュートリノの質量が縮退して量子効果が大きく効くためである可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画の研究も順調で、それらに加えて、新しいバリオン生成機構理論の開発や、LHC実験におけるヒッグス粒子の2つのγへの崩壊データに対する理論的研究に成功したため。
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今後の研究の推進方策 |
LHC実験の実験結果を随時取り入れた新しい理論の構築や解析、ILC実験に向けた解析をおこなっていく。
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