研究領域 | フレーバー物理の新展開 |
研究課題/領域番号 |
22011008
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
寄田 浩平 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (60530590)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2011年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2010年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 素粒子物理 / 加速器 / 第三世代粒子 / ヒッグス粒子 / CDF/Tevatron実験 / ATLAS/LHC実験 |
研究概要 |
前年度に引き続き、高エネルギーハドロンコライダーにおける第三世代粒子(具体的には、τ、b-quark,t-quark)の測定法を改善し、ヒッグス粒子探索や新現象探索能力を向上させることが本研究の目的である。2011年度の成果は主に2010年度の成果を最大限向上させ、CDF/Tevatron実験においてWH/ZH->lvtautau/11tautau課程によるヒッグス探索を6.2fb-1のデータで行い、結果を公表したこと、また生成過程は同じだが、W/Zボソンがジェット対に崩壊する過程(WH/ZH->jjtautau)を8.3fb-1で行い、これも世界に公表することができた。また、この解析で重要となうτ対の不変質量の分解能向上を、τの崩壊過程によらないで達成できることを示唆する結果も得られた。全ての観測量の分解能を考慮し、最適な質量を得るために必要なアルゴリズムに関する今後の課題を浮き彫りにすることができた。一方、前年度のATLAS/LHC実験で我々が創出したトップクォーク対が全てジェットに崩壊する過程(b,bbar,4quarks)の解析結果で自明となったトリガー閾値の問題(bジェットの同定等)を、新たなトリガーエレクトロニクスシステム(FTK)を構築することで回避するため、基礎開発を大きく進めた。特にこの課題に必須な飛跡トリガーの環境依存性や検出器応答の影響、またハードウェア面では受信モジュールのプロトタイプ製作を行い、実際にCERNで実機試験を行うことができた。これら全ての結果は国際会議、日本物理学会で報告、学術論文や修士論文に纏めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究目的は、まずTevatronとLHC実験の垣根を越えて、τ,b,tの同定効率やエネルギー測定誤差を改善し、双方からヒッグス粒子の物理結果に生かすことにあった。その意味で、Tevatron実験でヒッグス粒子探索の公式結果を2つ創出し、LHC実験で初めてのトップクォークの解析結果を出したという成果は、当初目的を十分達成できたと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果を活かし、いよいよLHC実験でのヒッグス粒子の存在有無、さらにはヒッグス機構の解明へと繋げる。そのために、より一層τレプトンとbクォークの粒子同定の改善を目指す。また、高輝度化するLHC加速器に対応するべく、新しい高速飛跡トリガーシステムの構築が大きな課題となり、今後大きな役割を果たしながら、電弱対称性の破れの理解を進めていく。
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