研究概要 |
本研究では、1.共有結合性ネットワークの次元性・伝導性と超伝導、2.共有結合性ワイドバンドギャップ半導体の超伝導化という2つの観点から新規超伝導物質探索を行った。 1.共有結合性ネットワークの次元性・伝導性と超伝導 ・擬AlB2型構造を有する新規三元素系化合物Ba(TM,Si)2(TM=Cu,Ag,Au,Ni,Pd,Pt)の合成に成功し、これらがTc=0.9K~3.8Kの新規超伝導体であることを発見した。また、Baサイトを同族元素であるCa,Srに置換した系においても複数の新規超伝導体を発見した。 ・層状構造を有するCr2AlC型新規三元素系炭化物Lu2SnCの合成に成功し、Tc=5Kの新規超伝導体であることを発見した。更に、バンド計算による状態密度の評価から、フェルミ面近傍ではC元素の寄与が大きいため、この系における超伝導発現にはCが重要な役割を担っていることを明らかにした。また、同様のCr2AlC型構造の化合物M2SnC(M=Ti,Zr,Hf,Nb)と構造パラメータ、物性、状態密度の観点から比較を行うことによって、これらの系における超伝導の誘起や超伝導特性の向上への指針を得た。 2.共有結合性ワイドバンドギャップ半導体の超伝導化 ・Bドープダイヤモンドにおけるさらなる超伝導転移温度の向上をめざし、[100]配向Bドープダイヤモンド薄膜を様々な手法により育成し、[100]配向膜としては最高レベルのTcに達する高品質なBドープダイヤモンド薄膜の育成に成功した。更に、表面状態や電子状態と超伝導特性との相関を調べ、バンド計算による電子状態との対応を明らかにした。
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