研究領域 | 配列ナノ空間を利用した新物質科学:ユビキタス元素戦略 |
研究課題/領域番号 |
22013016
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
田所 誠 東京理科大学, 理学部, 教授 (60249951)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2011年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2010年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ナノ多孔質 / 金属錯体 / 水クラスター / 水素結合 / 分子結晶 / 包接水和物 / プロトン伝導 / クリスタルエンジニアリング / 水和 / 超分子 / クラスレートハイドレート |
研究概要 |
(1)常温常圧で安定なガスハイドレート結晶の構築:メタンハイドレート(MH)は、277Kの温度で約5MPa(水深500m以下)の低温高圧領域でしか安定化しない氷の多形である。もし、このMHを室温で安定に取り出そうとするなら、約40MPa以上の高圧下で取り扱わなければならない。私たちは、ガスハイドレート(GH)を安定化するために必要な高圧をナノ空孔内で発生する擬圧力で補ってやり、常温常圧で安定なGHを合成することを目的にあげた。GHのI型は、水分子クラスターの5員環が12個、水素結合して作られた12面体(S1-512空孔系:7.88Å)と、5員環12個と上下の頂点部分が6員環からなる14面体(M-51262空孔系:8.6Å)が、それぞれ2個と6個結合して作られた単位格子からなる。このGH構造を再現することによって、GHが氷化する温度で臨界ガスのH2やCH4を固体状態で大量に吸蔵することができる。これはCH4の液化に-80℃以下で40MPaに圧縮する必要があることを考えると重要な保存方法になりえる。私たちは14面体構造が連なった水分子クラスターを[RuIII(H2bim)3]3+錯体とトリメジン酸を用いて、室温でも安定なGH-I型の部分構造として構築することに成功しTHFハイドレートとして得ることに成功した。このような人工クラスレートハイドレートの中に、THF、EtOH、MeOH、アセトン、ジオキサンを入れることに成功し、ハイドレートとしての機能性を見いだした。今後、この物質が可逆に小分子を出し入れできるか湿度-温度を制御して実験を行ってきたい。気体の導入では、温度-湿度の制御に加えて高圧ガスを用いる設備が必要なってくるため、新しい装置の開発が必要になってくる。そのため、この装置の見込みが立ちしだい、メタンや水素などのガスハイドレート特性について研究したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請の時に比較して、ナノチューブ状の水クラスターの特性が明らかになってきた。生成した水ナノチューブクラスターはTHFばかりでなく、EtOH,MeOH,アセトン、ジオキサンなどとも同形の構造を作り、新規クラスレートハイドレートとして機能することを見いだした。今後、ガスなどの気体を水分子の速度的な性質を利用してトラップしていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を逐行する上での問題点は、温度-湿度を調節しながら、圧力をかけてガスを封入するような条件を実現する機器を作成することにある。メタンハイドレートなどの生成条件下で、このナノ細孔に安定化されたチューブ状の水クラスターの中にメタンを閉じ込めるようにしたい。しかし、現在の資金では不可能である。
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