研究領域 | フラストレーションが創る新しい物性 |
研究課題/領域番号 |
22014005
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安井 幸夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (80345850)
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研究分担者 |
寺崎 一郎 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30227508)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2011年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2010年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | マルチフェロイック / 強相関電子系 / 磁性 / 誘導体物性 / 量子スピン / 誘電体物性 |
研究概要 |
CuO_2リボン鎖と呼ばれるCuO_4四角形が辺共有で1次元的に連なった構造をもつ一連の物質群ではスピンS=1/2の量子スピンをもち、またスピン間の最近接交換相互作用J_1と次近接J_2が競合しているという特徴をもつので、マルチフェロイック現象(磁気秩序と強誘電性が共存)に関する研究の観点と、ネマティック相や新たな多極子秩序相など新奇な量子相の探索という観点の両方から興味を持って研究している。本研究で取り上げるRb_2Cu_2Mo_3O_<12>もCuO_2リボン鎖をもち、ゼロ磁場下で磁気転移も強誘電転移も示さない物質系である。この系ではJ1=-138K(Ferro的),J_2=51K(AF的)であるが、強い量子ゆらぎと低次元性により少なくとも2Kまでは3次元的な長距離磁気秩序が見られない。この系の誘電率εを測定した結果、約50K以下で降温とともに誘電率の増大を観測した。これはhelical磁気構造の短距離秩序に起因すると考えられる。また、この誘電率の増大はCuサイトへの少量のZn及びNi置換により抑制されることもわかった。この結果も短距離磁気秩序が不純物置換により乱されたからと理解することが出来る。さらに磁場を印加して誘電率を測定した結果、H>0.5Tの磁場下では、T_c=8Kでε-T曲線にピーク構造が現れることがわかった。強誘電分極を調べた結果、T_c以下では有限の自発分極が出現し、磁場誘起の強誘電転移が起こることがわかった。強誘電転移が誘起される磁場下で磁化率と比熱を調べたが、T_cで何の異常も観測されず磁気転移は伴っていないことがわかった。つまり、3次元的な長距離磁気秩序を伴わないにもかかわらず、磁場によって強誘電性が誘起されるという大変奇妙な現象を見出した。この磁場誘起の強誘電転移は、磁気フラストレートした量子スピン系の特異な磁気状態が関与した新しいタイプの可能性が高く大変興味を持っている。この物質系の特徴と同じJ_1-J_2の一次元量子スピン系において、長距離磁気秩序ないがカイラリティが秩序化しているカイラルオーダー相の存在が理論的に提案されており、本研究で見出した磁気転移を伴わない磁場誘起強誘電相との関連にも注目している。
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