研究領域 | フラストレーションが創る新しい物性 |
研究課題/領域番号 |
22014013
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
勝藤 拓郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00272386)
|
研究期間 (年度) |
2010 – 2011
|
研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
|
配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2011年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2010年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | 幾何学的フラストレーション / 軌道自由度 |
研究概要 |
A2V13022における三量体形成と不純物効果 A2V13022(A=Ba,Sr)は、Vが規則的に欠損した擬V三角格子が3層、fcc格子的に積層した構造をとり、Baでは290K、Srでは380Kで三量体相転移を起こす。このV3+(3d^2)サイトに非磁性不純物Sc、磁性不純物Cr(3d^3)を導入した試料を作製した結果、不純物ドーピングによって、三量体相転移に伴う電気抵抗の増大、帯磁率の減少が消失することを昨年度に見出した。さらに、本年度は結晶構造の変化について調べ、歪測定における相転移での異常が不純物ドーピングによって消失すること、また電子線回折実験の結果から、三量体相転移によって起こるCmce=>Pbcaの構造相転移が不純物ドーピングによって消失することを見いだした。これらの結果から、不純物ドーピングによってスピンシングレット三量体が崩壊し、スピンが現れるという振舞いが明確になった。 Ba2Ti13022単結晶の物性 Ba2Ti13022は、上記のA2V13022と同じ結晶構造をとるが、V3+(3d^2)ではなくTi3+(3d'1)によって構成されている。この物質の単結晶をFZ法によって作製し、210Kで電気抵抗の増大と帯磁率の減少が起こることを昨年度見出した。今年度はこの210Kの相転移についてより詳しく実験を行い、電子線回折実験の結果からCmce=>C2/mの構造相転移が起こっていること、またこれはある3層と隣の3層が非等価になる相転移に対応していることを見いだした。さらに歪測定とx線粉末回折実験の結果から、この相転移でa軸が縮み、b軸が延びることを見いだした。また光学測定の結果、0.1eV以下でギャップが開く様子を明らかにした。以上のことから、この物質の210Kでの相転移は電荷密度波に近いことが明らかになった。
|