研究領域 | 機能元素のナノ材料科学 |
研究課題/領域番号 |
22015006
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大久保 勇男 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (20376487)
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研究期間 (年度) |
2010 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2011年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2010年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 酸化物 / エピタキシー / デバイス / ヘテロ界面 / 機能元素置換 |
研究概要 |
さまざまな機能を発現する遷移金属酸化物絶縁体を用いた電子デバイスの開発を行っている。特に、良好なデバイス特性を引き出すための手段として、本研究では、遷移金属酸化物層やその界面にデバイスを動作させる機能元素をドーピングしたデバイスに着目している。今回、ターゲットしたデバイスは、スピン偏極電流生成デバイスである、強磁性絶縁体を障壁層に用いたスピンフィルタートンネル接合素子である。強磁性絶縁体障壁層に用いたペロブスカイト型酸化物の機能元素置換することと、強磁性絶縁体障壁層/強磁性金属層(スピン偏極電流検繊層)界面の強磁性結合を原子層・分子層スケールでの界面制御を行うことで、これまで報告された中でもっとも高いスピン偏極率を得ることに成功した。レーザー分子線エピタキシー法で、SrTiO_3(100)基板上に作製したLaNiO_3(金属:電流注入電極)/Pr_<0.8>Ca_<0.2>Mn_<1-x>Co_xO_3(強磁性障壁層)/SrTiO_3(独立磁化反転障壁層)/La_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3(スピン偏極電流検出層・ハーフメタル下部電極)エピタキシャル積層構造を、イオンミリングとフォトリソグラフィーにより微細加工しスピンフィルタートンネル接合素子を作製した。これまでの実験で、工夫・改良を進めてきた積層型2端子素子作製のための微細加工技術を向上させ、酸化物強磁性絶縁体の膜厚を数nm程度まで薄くした薪しいデバイス・スピンフィルター素子の作製に成功した。報告されている中で一番高いトンネル磁気抵抗値(TMR)を得ることに成功している。H23年度はさらに優れたデバイス特性を得るために、スピン偏極電流検出層・ハーフメタル下部電極と強磁性障壁層の強磁性結合を完全に断ち切るSrTiO_3・独立磁化反転障壁層を0.8nm(2 unit cell)挿入したデバイスを作製した。その結果、さらに高いデバイス特性、100%以上のTMR比とnormal metalから50%以上のスピン偏極率の電流を得ることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究で計画した機能元素ドープ・置換材料を用いた2つ新しいデバイスの開発に成功した。1つは抵抗変化型メモリーの多値化、もう一つは、スピンフィルタートンネル接合素子ある。両社とも、機能元素によりデバイス動作しており、高機能化と高信頼デバイス特性を得ることに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、機能元素を積極的に活用したデバイスの提案と試作を行ってきた。機能元素をドープまたは置換することで、デバイス特性の向上と制御を実現した。今後は、機能元素ドープ・置換マテリアルを利用したより高度なデバイス開発と提案が重要となる。たとえば、量子閉じ込め効果などの量子効果を積極的に取り入れたデバイスなどである。機能元素ドープ・置換マテリアルの高性能・省電力消費デバイス材料としての可能性を示す必要がある。
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