研究概要 |
圧力10~100ギガパスカルおよび温度2000~4000K程度の超高圧超高温領域での化学反応場における物質創製と相安定性の解明は,冶金学,合成化学,固体化学の萌芽的未踏研究領域であり,新物質・新結晶の創製が十分に期待できるため,我々が独自に開発したダイアモンドアンビルセルと赤外レーザー加熱を組み合わせた数十ギガパスカル数千ケルビンでの超高圧合成用プロセスを用いて,多くの新物質・新結晶,特に様々な半導体新物質・新結晶を創製することを試みた.その結果,以下の主な成果が得られた. まず,光触媒材料として有名なルチル型酸化チタンについて,超高圧超臨界水中での結晶成長を利用して,角柱チューブ状という特異な形態の単結晶の創製に成功するとともに,元素ドーピングにも成功した.また,超高圧超臨界窒素中での直接窒化法を利用して,新しい窒化物半導体として期待されているTh_3P_4型構造のZr_3N_4-Hf_3N_4系窒化物固溶体の合成に成功した.また,超高圧超臨界二酸化炭素中での強制還元法と結晶成長を利用して,カーボンナノチューブと放射状に成長したカーボンナノファイバーの創製に成功した.さらに,高分子を前駆体として,超高圧下での有機・無機変換合成法を利用して,バラ状という特異形態のC-N系グラファイト類似化合物の創製に成功した.そして,CとNの比を系統的に変化させることに成功した.以上の各物質系について,本プロセスを用いた場合の創製条件を明らかにした.さらに,超高圧下でタンパク質単結晶の構造解析と変性挙動を解明するための手法を開発しこれらを解明した.
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